近年はマーケティング領域での活用も増えています。この記事では、マーケティングにおけるCDWやCDPの活用を、BigQueryを例に紹介します。
前回のブログではCDPやCDWのニーズが高まっている背景をご紹介しました。マーケティングから営業、カスタマーサクセスまで統合的にデータ管理・活用する動きが増え、マーケティングテクノロジースタックもこれまでのアプリケーションを軸としたエコシステムの構築から、データエコシステムへと変化を遂げています。興味深いデータとして、2018-2023年の間でCDWを導入した企業では、テクノロジースタックを大きく変更しており、新しいツールを140%多く取り入れているというものがあります。CDWを入れることでマーケティングテクノロジースタックの再構築を進めているのです。これまではプロダクト部門やIT部門が活用の中心であったCDWですが、近年はマーケティング領域での活用も増えています。この記事では、マーケティングにおけるCDWやCDPの活用を、BigQueryを例に紹介します。
マーケティング担当者であれば、Google広告やMeta広告など、複数のプラットフォームで広告キャンペーンを実施している可能性が高いでしょう。よくある問題として、どのプラットフォームがより効果的であるか、正確な全体像を把握できないことが挙げられます。 CDWではすべてのプラットフォームからのコンバージョンをタイムスタンプ付きで取得し、それらを単一のIDにタグ付けすることができます。これにより、任意のアトリビューションモデルをもとに、コンバージョンを正しく割り当てることができます。このような詳細なインサイトを得ることで、広告のパフォーマンスが適正であるか、見直しが必要であるかを理解することができます。
コンテンツマーケティングの効果測定は非常に困難です。 というのも、コンテンツには、著者やテーマ、コンテンツ形式、製品機能に関するものなど、複数のタグが付けられていることがほとんどです。つまり、以下のような疑問にこたえるパフォーマンスレポートの作成は容易ではありません。
これらに答えるには、CDWやCDP以外では対応できない膨大な量のデータが必要です。そのため、コンテンツマーケティングのパフォーマンスレポートに関しては、CDWの大量のデータを保存する能力により、より深い洞察を得ることができます。
多くのCDWでは機械学習を搭載しており、大量のデータを一度にホストできる機能と組み合わせることで、業界の変化にも対応できるマーケティング予測を構築するのに最適な組み合わせとなります。過去のマーケティングデータの分析を通じて将来の予測を立て、その過程でキャンペーンカレンダーを正確に計画することができます。それだけでなく、業界の季節性を考慮して、ビジネスピークを最大限に活用することもできます。また、予測オーディエンスを作成することもできます。例えば、Google Analyticsのデータに基づいて購入傾向や顧客生涯価値を分析し、コンバージョンにつながりやすいユーザーをターゲットにすることができるのです。
また、広告予算の最適配分にも役立ちます。複数のプラットフォームで広告を展開するマーケティング担当者であれば、広告戦略が妥当であるか、また、各プラットフォームの予算配分と比較して、そのプラットフォームが期待通りの成果を上げていない可能性がないかを知る必要があります。Google、LinkedIn、InstagramなどからデータをCDWアカウントに収集し、すべてのデータを統合した包括的なレポートを作成します。これにより、マーケティング予算をより適切に配分し、ROIの改善につなげます。
見込み客はコンバージョンに至るまでに、Webサイト内のさまざまなページを閲覧しています。この間、ユーザーデータは固有のCookie IDとして登録されCDWへ送信されます。コンバージョン後には、コンバージョン前のクッキーIDに関連付けられたユニークなCRMレコードIDが発行されます。 これら2つのユーザーIDのデータを照合することで、マーケティング担当者は一元化された顧客データベースを作成し、その情報を利用してキャンペーンのターゲティングを向上させることができます。
Gartnerの調査では、テクノロジー活用の先進的な企業ではCDWを導入している比率が高く、さらにはCDWとCDPの両方を導入している比率が高いとの結果が出ています。
あるグローバル自動車メーカーでは、データの格納先をCDWとCDPの2種類にわけ、運用しています。プロダクトや営業、ファイナンスなどまでが関わる多様なデータをCDWに集約し、マクロな視点から顧客の全体像を理解できるようにする一方、優れた顧客体験に関わる、すばやい施策の実行と改善が求められる領域においては、一部のミクロなデータを中心にCDPに切り出してデータを格納しています。
別の小売業の企業では、マルチチャネルマーケティングで成果を出すためにはECのデータ活用が避けて通れない状況でしたが、あらゆるデータをCDWに格納し、CDPと共存させることで業務時間を1,000時間削減し、広告のROASも62%向上したという結果が出ています。
CDWは一見するとマーケティングチームにはとっつきづらいものに見えがちですが、実はすでに多くの企業で導入されており、マーケティング領域でもいかに活用していくか、というフェーズにきていると言えます。その要因は安価に大量のデータを扱える点や、拡張性の高さによるでしょう。既存のテクノロジーをさらに活用するためにも、CDWを導入し、よりデータを活用するための方法を模索してみてはいかがでしょうか。