B2BにおけるCDPとMDMの活用

December 23, 2024

現代のマーケティング環境は、テクノロジーと消費者ニーズの多様化に伴い、これまで以上に複雑化しています。特にB2B分野においてはデータの統合と衛生管理の重要性が急速に高まっています。このような課題に対応するため、B2Bにおいても「カスタマーデータプラットフォーム(CDP)」の活用が注目されています。B2Cでは以前から活用が進んでいましたが、データ課題が浮き彫りになっている中、B2Bマーケターの皆さんにCDPの基本的な概念やその重要性、実際の使用例、そしてベストプラクティスについて詳しく解説します。

CDPの基本概念

カスタマーデータプラットフォーム(CDP)は、複数のデータソースから収集したデータを統合し、組織全体で利用可能な統一されたビューを提供するプラットフォームです。データのサイロ化を防ぎ、マーケティングチームがリアルタイムに柔軟なデータにアクセスできるような環境を整えるために設計されています。データ統合による一貫性やマーケティングに特化したリアルタイムデータの提供を実現し、サードパーティーに依存せずに顧客体験を向上させる基盤として機能します。

CDPはデータウェアハウスやCRMシステムを補完し、マーケティングの効率を向上させる役割も担います。特に、顧客データの可視性を向上させることで、企業は消費者の期待に応じた迅速かつパーソナライズされたサービスを提供できるようになります。

CDPの活用

CDPの主要な活用例は以下の通りです。

  • データ保護とプライバシーコンプライアンスの管理: GDPRやCCPAといったプライバシー規制が強化される中で、CDPを活用することによりデータの管理体制を強化することができます。データがどこで収集され、どのように使用されるかを明確にすることで、法規制への準拠と顧客の信頼向上を同時に実現します。
  • リアルタイムデータの収集と活用: 例えば、ウェブサイト訪問者の行動データをリアルタイムで収集し、それを活用してパーソナライズされたコンテンツや広告を提供します。効率的なターゲティングとパーソナライゼーションで顧客体験を向上し、コンバージョン率の向上につながります。
  • 統一されたカスタマープロフィールの作成: 顧客行動やインテントデータを包括的に管理することで、営業チームやカスタマーサポートチームなどの関連部署も顧客ごとにパーソナライズされた提案や対応を迅速に行うことができます。
  • データインテグレーションの強化: マーケティングオートメーションツールやセールスシステム、ERPなどへのシームレスな連携で部門間でのデータの断絶を防ぎます。これにより、マーケティングキャンペーンの精度と効率が大幅に向上します。

CDPの応用はマーケティングに留まりません。例えば、製品開発チームが顧客データを利用して新製品の要件を特定したり、顧客サポートチームが過去の購入履歴を参照してより迅速な対応を行うことも可能です。ある大手B2B企業では、CDPを導入することでデータ処理に要する時間を50%以上短縮し、営業チームが即座に顧客対応を行えるようになったという成果が報告されています。このような実例は、B2B企業におけるCDPの効果を具体的に示しています。

CDWやMDMとの併用

CDWやMDMをお使いの場合は、CDPと併用することでデータ活用をさらに強化することができます。

  • データの一貫性向上: 各部門で異なるデータ形式や基準が使用されるリスクを軽減し、各部門間でのデータの整合性や誤情報の伝播を防ぎます。同一顧客に異なる名前が登録されるなどの問題を回避するための標準化が可能になります。
  • 価値創出の促進: データ安定性の向上により、迅速かつ正確な意思決定が可能になります特に顧客のライフサイクル全体にわたるデータの一貫性が、クロスセルやアップセルの機会を最大化する鍵となります。
  • データ運用の効率化: 自動化されたプロセスにより、データ管理の負担が軽減されます。データの重複や不整合を自動的に検出・修正する仕組みを構築することで手作業によるエラーを防ぎ、データ管理の精度と効率を向上させます。

CDWやMDMとCDPを組み合わせることは、特にグローバル企業にとって大きなメリットをもたらします。たとえば、地域ごとに異なるプライバシー規制に対応しながら、グローバル規模で統一されたデータ管理を実現できます。ある製造業の企業では、MDMとCDPを組み合わせた結果、製品開発サイクルが大幅に短縮されました。同時に、営業チームはリアルタイムで顧客のニーズに対応できるようになり、売上高が15%増加しました。このような事例は、CDWやMDMとCDPの統合による大きな可能性を示しています。

まとめ

データ活用の課題を解決するには、CDPの導入と同時にデータの質を維持するための標準化が鍵となるかもしれません。データの利用に関わる全ての部門がデータの重要性を再認識し、協力して最適な環境を構築することが求められます。

CDP活用にはデータを容易にアクセス可能な形に整え、自社の目標やニーズに応じた戦略を策定する必要があります。これからの時代において、データマネジメントとプロセスマネジメントの重要性はますます増していくでしょう。データを活用した効果的なマーケティング戦略を実現するために、企業は積極的に取り入れていくべきでしょう。

Iku Hirosaki
Iku Hirosaki
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廣崎 依久
取締役 兼 COO | Board Member and Chief Operating Officer

株式会社マルケト(現アドビ株式会社)にてインターン終了後、渡米。シリコンバレーのEd Tech企業、Courseraにてフィールドマーケティング及びエンタープライズマーケティングオペレーションに従事。その後シンガポールに渡りDSPベンダーのMediaMathにてAPAC地域のフィールドマーケティング及びマーケティングオペレーションを担当。01GROWTHでは教育サービスの開発に加え、国内外のコンサルティング業務を行う。著書に「マーケティングオペレーション(MOps)の教科書 専門チームでマーケターの生産性を上げる米国発の新常識」(MarkeZine BOOKS)と、レベニューオペレーション(RevOps)の教科書 部門間のデータ連携を図り収益を最大化する米国発の新常識(MarkeZine BOOKS)がある。

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