コンテンツマーケティングの正しいKPI測定とは?

November 11, 2022

コンテンツマーケティングの効果測定の難しさ

Content Marketing Institute(CMI)のリサーチによると、66%のマーケターが、2021年と比較して2022年のコンテンツマーケティングへの投資額が多くなると回答しています。一方で、B2Bマーケターの33%が、コンテンツマーケティングの効果測定に苦戦していると答えており、さらに2022年のB2B調査では、プロジェクトが成功していないと感じているマーケティング担当者のうち39%が、コンテンツのパフォーマンスをまったく測定していないと回答しています。

コンテンツマーケティングの効果測定を難しくしている要因の一つは、一般的なマーケティングメトリクスとプロセスが、コンテンツエコシステムの中で運用される場合に必ずしもフィットしないということです。

ここでは、マーケティングゴール別に、測定すべき7つ12のコンテンツマーケティングKPIについてご紹介します。

タイプ1:ウェブサイトトラフィック

KPI①: オーガニックトラフィック

コンテンツマーケティングの肝はどれだけオーガニックトラフィックを獲得できるか否かです。どんなコンテンツでも、キーワード戦略(検索ボリュームや難易度などを元に、短期・長期的に狙いたいキーワードや、競合からシェアを奪いたいキーワードなどを明確にしたもの)をたて、自社が狙っていきたいターゲットキーワードはなんなのか、そしてそのキーワードは月間でどれくらい検索されているのか、などを理解した上で製作することが大変重要です。コンテンツの質が担保されていればの話ですが、この調査をしっかりすると期待できるオーガニックトラフィック量はある程度目星をつけることができます。また、この調査はこのブログでも何度もご紹介したSEMrushなどで簡単に行うことができます。もちろん、コンテンツの公表から実際にオーガニックトラフィックを獲得するまでには時間が少しかかりますので、継続的にパフォーマンスを測定・トラッキングすることが重要です。多くの企業でキーワード戦略なしに、「きっとこのテーマは人気だろう」という主観でコンテンツを書いてしまう傾向があります。これがコンテンツマーケティングの効果測定がうまくできない大きな要因の一つです。製作するのにある程度リソースのかかるコンテンツマーケティングでは、オーガニックトラフィックを獲得できるようなコンテンツのテーマを賢く選ぶことが大変重要です。

KPI②:キーワードのランキング

①のポイントと大変共通していますが、コンテンツを作る際にターゲットとしたキーワードに対するランキングも重要なKPIになるでしょう。なかなかランキングが上がってこない場合は、どんなに良いコンテンツを書いていたとしても、サーチエンジンから有益な情報だと見なされていない可能性や、有益な情報だがそもそもサイト構造に大きな問題があり足枷になっているなどさまざまな理由が考えられます。特にキーコンテンツのキーワードランキングは数ヶ月に一度は注視して観察すると大変役に立ちます。数ヶ月のうちに競合他社がある特定のキーワードのシェアをとられていた、などのインサイトがあれば今後のコンテンツ戦略に役立たせることもできますね。

KPI③ バックリンク

コンテンツの大事なKPIの一つとして獲得したバックリンク数があげられます。リファラルリンクを獲得するとドメイン評価が上がり、オーガニックトラフィックを獲得しやすくなるなど、①と切っても切り離せないポイントの一つでもあります。SEOの中でもバックリンク戦略をしっかりと立てて行うことが重要です。

タイプ2:エンゲージメント指標

KPI④リテンション・直帰率

リテンション率や直帰率は、コンテンツが訪問者にとって適切なものであるかどうかを判断するために活用できます。直帰率はGoogleのランキングファクターでもあり、パフォーマンス低下はウェブサイトトラフィック低下に直結します。コンテンツ改善という文脈では、ブログなどオウンドメディアの運用にコンテンツ最適化のためのチェックリストを加えることをおすすめします。

ただしあまりにも数値がひどい場合コンテンツではなく、ウェブサイトの技術的なSEOに問題がある場合もありますので、ページの読み込み速度やサイト構造についても併せて確認するようにしましょう。

KPI⑤: スクロール率・ページ滞在時間

ダウンロードさせるようなコンテンツではなく、ブログ記事などある程度長いコンテンツの場合、スクロール時間やページ滞在時間も重要な指標になります。今まではGTMで設定しなければいけなかったスクロール率のトラッキングも、GA4では簡単に計測できるようになりました。オーディエンスが多く離脱するポイントがあれば、的確にコンテンツの内容やページのレイアウトを改善することができるかもしれません。ページの滞在時間と合わせてこの指標を見ることでより正確なインサイトを得ることができるでしょう。

タイプ3:コンバージョン

コンバージョンと言ってもさまざまなコンバージョンポイントがあります。B2Bではリードジェネレーションを目的としたコンテンツマーケティングが主流ですが、B2Cでは特集記事がECでの売上に直結する場合もありますよね。業種業態はもちろん、どのレベルのコンバージョンを目標とするかで大きく変わりますので、自社に当てはめて考えてみてください。

KPI⑥: リードジェネレーション

先述したようにB2Bのコンテンツマーケティングにおいてリードジェネレーションは大変ポピュラーなKPIの一つです。しかし、創出するリード数が多ければいいということではありません。獲得した全リードの中でも、行動・属性情報を掛け合わせて評価した際に、商談・売上につながると予測できるような根拠をもったリード、MQLを目標ポイントに使用することが重要です。自社に興味のないリードばかりを創出し営業チームにバトンタッチしていては、マーケティングチームも営業チームも生産性が大きく下がります。この評価を正確にするためにはMQLの定義がしっかりとできていることが重要です。ただ単にリード数を稼ぐという考え方から本当にボトムラインに影響を与えられるようなリードを創出する、という考え方でコンテンツのタイプやテーマを考えてみると良いでしょう。

KPI⑦:ボトムラインへの影響

どんなビジネスでも売上や総収入は、最大のゴールの1つです。先述しましたが、ECなど業種業界によってはコンテンツマーケティングが売上に直接繋がる場合もあります。購入までのプロセスが短い多くのB2C商材では、コンテンツ経由の売上が明確に算出できることもあるでしょう。この場合は各コンテンツが寄与した貢献度を数値、すなわち額面で算出することができます。貢献をしているコンテンツのタイプや長さ、トーンなどさまざまな観点で分析し今後のコンテンツロードマップの参考にしましょう。

一方B2Bで商談期間が長い場合は、特定のコンテンツが直接的に売上に貢献するというよりは長期間にわたってコンテンツで定期的なタッチすることで商談化に貢献した、というポイントが重要です。B2Cのように各コンテンツがボトムラインに寄与した額を正確に表すことは難しいかもしれませんが、この場合はマルチタッチアトリビューション分析で商談化にどれだけコンテンツマーケティング施策が貢献できたかを測定することでボトムラインへの影響を測るのが一般的です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?コンテンツマーケティングのKPI測定は、効果測定から具体的な改善に向けたアクションに繋げることが重要です。そのためには、アクション可能な単位で分析することが必要になります。例えばキャンペーン別にコンテンツ戦略を決めている場合はキャンペーン毎の測定、一つのキャンペーンの複数のコンテンツ戦略が含まれる場合はコンテンツ戦略毎に測定が必要です。制作と同じくらい効果測定にも注力してコンテンツ投資をより有意義なものにしましょう。

Iku Hirosaki
Iku Hirosaki
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廣崎 依久
取締役 兼 COO | Board Member and Chief Operating Officer

株式会社マルケト(現アドビ株式会社)にてインターン終了後、渡米。シリコンバレーのEd Tech企業、Courseraにてフィールドマーケティング及びエンタープライズマーケティングオペレーションに従事。その後シンガポールに渡りDSPベンダーのMediaMathにてAPAC地域のフィールドマーケティング及びマーケティングオペレーションを担当。01GROWTHでは教育サービスの開発に加え、国内外のコンサルティング業務を行う。著書に「マーケティングオペレーション(MOps)の教科書 専門チームでマーケターの生産性を上げる米国発の新常識」(MarkeZine BOOKS)と、レベニューオペレーション(RevOps)の教科書 部門間のデータ連携を図り収益を最大化する米国発の新常識(MarkeZine BOOKS)がある。

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