競合のコンテンツマーケティング分析

January 26, 2023

先週のブログに引き続き今回は競合のコンテンツマーケティングの分析方法をご紹介しましょう。

時間と労力を要するコンテンツマーケティングを効率的に進めるためにぜひ取り入れたいプロセスこそ、競合のコンテンツマーケティング分析です。体系立てて分析を実施することで競合のマーケティング戦略のみならず、昨今のオーディエンスの興味関心、最新トレンド、自社マーケティングの不足箇所を詳らかにすることが可能です。競合を深く調査することにより自社コンテンツの戦略をよりシャープにしていきましょう。

分析の仕方

具体的な分析ステップを確認していきましょう。


1. 競合をリスト化

手始めに競合をリストアップします。その際直接的な競合だけでなく、間接的な競合(提供商品・サービスは異なるも同様のカスマターニーズに応えるビジネス領域に位置する競合他社)もリストに入れ込んでいきます。プレスリリース、ニュースレター、ブログ等から比較的容易に情報を確認出来ます。


2. 競合のポジショニング確認

まずは直接的な競合のコアビジネスおよびポジショニングを確認します。具体的なやり方として有効なのが競合ページのタイトルとメタデータのチェックです。公式ウェブサイトに訪れてメインとなるビジネス領域、サービスカテゴリ、メインサービスを確認します。そしてそれらに関連するキーワードを用いてGoogle検索を行いSEM施策状況を確認します。同キーワードで表示されるサービスに何か特筆すべき特徴や流れはないか、ビジネス領域が類似している競合ブランドがどのようなCTAを用いているか確認出来たら、再度ウェブサイトに戻ってIRやニュースリリースを確認し、該当ビジネス領域への投資や新規サービスローンチ情報などを取得します。そうすることで、自社と他社の強み弱み、今後の方向性が可視化され自社の向かう方向性がくっきりしてきます。


便利ツール

・SEMrush(キーワード解析)

・SEOquake(アクセス数、記事数、被リンク数、被リンクからの流入)

Screaming Frog(メタデータ解析)



3. 主要SEO指標のスコア確認

自社ウェブサイト改善のためには、競合の主要SEO指標のスコア確認のプロセスが有効です。そのためには自社でSEOを実施するか、あるいは以前別の記事でご紹介したSEMrushやAlexaなど競合分析ツールを導入することが必要になります。主な主要指標は以下です。

・月次ユニークトラフィック数

・ドメインオーソリティスコア

・トラフィックの多い国

・平均滞在時間

・バックリンク数


それぞれの指標におけるスコアを確認したら、一つ一つに対して理由を仮説立てていきましょう。自社および他社が持つどの強みまたは弱みが作用したのか、何か特筆すべきパフォーマンスを生み出したコンテンツは存在していないか、あるならばどの要素の影響力が高いかを確認しましょう。


便利ツール

・SEMrush

・Alexa

・SimilarWeb


4. 競合サイト内コンテンツの確認

競合サイトのコンテンツ分析をすることで、該当サービス領域で最も人気や話題性のあるトピックスを確認することができます。ブログで最も取り上げられているテーマ、タグ設定などをチェックして重点箇所を確認しましょう。具体的に確認すべきポイントは以下です。


・コンテンツの質

・コンテンツの長さ

・メインフォーマット

・CTAの種類

・インフルエンサーやコミュニティリーダーの存在

・コンテンツチーム構成


質の分析については主観的になりすぎないよう、ある程度指標を決めることが大切です。情報の詳細度合い、ビジュアルのクオリティ、コンテンツの分かりやすさ、文法・スペルミスの有無等はぜひ押さえておきたいポイントです。コンテンツのメインフォーマットに関しては昨今様々で、ブログ、ウェビナー、インフォグラフィック、事例紹介、ebook、レポート形式、Podcastsなどが主流となっています。自社のサービス領域およびオーディエンスに最適なものは何か、競合の利用状況を見て自社フォーマットにも適宜採用してみましょう。

また、実際にコンテンツを作っているチーム自体を確認することも競合の強みや方向性を知る上で有効です。LinkedInのアカウントを確認し、コンテンツチームのバックグラウンドや強い領域をチェックしてみましょう。例えば競合他社に所属する人材の中でもHead of Content、Head of Email、Content Manager、Senior Multimedia Producer、Head of Affiliate and Influencer、Video Editor などのタイトルを持っている方々はコンテンツ制作に深く関わっている可能性が高いでしょう。彼らの経歴や得意領域を確認することである程度そのブランドコンテンツの方向性が予測してみましょう。


5. トップパフォーマンスコンテンツの特定

SEOツールまたは有料の競合分析ツールを用いて、競合コンテンツ内におけるトップパフォーマーを確認しましょう。有料ツールを用いて、競合サイトのページ毎にオーガニックトラフィックを確認し、どのトピックスやテーマに対してトラフィックが集中しているのか、またパフォーマンスの良いコンテンツのフォーマットや形式は何なのか確認しましょう。また、どのページが最も多くバックリンクされているのかチェックすることで、ボーナストラフィックを獲得できる可能性のあるコンテンツを把握することも出来ます。有料ツール導入がない場合でも、競合のソーシャルアカウントをチェックすることで、ある程度の方向性やトレンドを掴むことは十分に可能です。ポストリーチやエンゲージメント内訳などの詳細データは外からは確認出来ないものの、コンテンツの配信にどのチャンネルを使っているか(Facebook、Twitter、Instagram、LinkedInなど)、投稿の頻度や使用している主なコンテンツフォーマット(画像、動画、GIFなど)、更にはコメントや「いいね!」などのエンゲージメントが最も高いタイプの投稿における傾向などは確認可能です。


便利ツール

DYNO Mapper(コンテンツ詳細分析)

Ahrefs(コンテンツキーワード分析)

・LinkedInプロフォール検索(チームメンバーケイパビリティ把握)



まとめ

上記に沿って可能な限りの情報取得を済ませたら、情報が煩雑にならないようにサマリーを作成、そしていよいよ自社コンテンツマーケティング戦略の策定開始です。

競合分析には手間も時間もかかりますが、溢れ返るコンテンツの波の中で際立ち続けるためには欠かせないステップです。やみくもに量産して発信するのではなく、どこに真のチャンスがあるのかを理解し、価値あるアセットを生み出すことを意識しましょう。

Iku Hirosaki
Iku Hirosaki
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廣崎 依久
取締役 兼 COO | Board Member and Chief Operating Officer

株式会社マルケト(現アドビ株式会社)にてインターン終了後、渡米。シリコンバレーのEd Tech企業、Courseraにてフィールドマーケティング及びエンタープライズマーケティングオペレーションに従事。その後シンガポールに渡りDSPベンダーのMediaMathにてAPAC地域のフィールドマーケティング及びマーケティングオペレーションを担当。01GROWTHでは教育サービスの開発に加え、国内外のコンサルティング業務を行う。著書に「マーケティングオペレーション(MOps)の教科書 専門チームでマーケターの生産性を上げる米国発の新常識」(MarkeZine BOOKS)と、レベニューオペレーション(RevOps)の教科書 部門間のデータ連携を図り収益を最大化する米国発の新常識(MarkeZine BOOKS)がある。

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