2023年のマーケティングトレンド

March 22, 2023

①ゼロ・ファーストパーティデータの収集

ここ数年世界各国で施行されている個人情報保護法の影響でデータ収集の方法は大きく変化し、ファーストパーティ及びゼロパーティデータを主軸としたデータ活用へのシフトチェンジが求められています。そのほかにも、高度なパーソナライゼーションを実現するという意味でもゼロ・ファーストパーティデータが必要になります。

エンゲージメントの高いウェブサイトを作ったり、そこに誘導するためのSEOを向上して、オーディエンスに自らデータを共有してもらえるような仕組みづくりをすることが重要です。自社に有益なゼロパーティデータを特定し、以下のような方法で収集することが求められています。

  • 会員登録
  • ウェブサイトトラフィック
  • ソーシャルメディアのアンケート機能
  • メール
  • 店舗での取り組み

②VRマーケティング

最もわかりやすくVRマーケティングを成功させている事例はSephoraのVirtual ArtistアプリやIkeaのARアプリでしょう。これらのブランドは拡張現実(AR)戦術をうまく使ってカスタマーエクスペリエンスをデザインしています。B2Bマーケティングの領域でも、展示会などでVRを通じた製品体験を提供している企業も出てきています。VRマーケティングはまだ改良の余地のある初期段階であり、今後さらに革新的なVRマーケティング戦術が生まれてくる状況に対応できるように現段階から戦略を練っておくことが必要です。

③CXの向上

CXが購買の意思決定に重要な要素であると答える消費者が73%もいるのに対して、そこに満足している消費者はわずか49%であるという調査結果があります。CXはマーケティングの領域ではないのではないか?とお考えになった方もいらっしゃるかもしれませんが、オンラインコンテンツの発展により、欲しい情報をいつでも自分で取りに行けるようになった昨今の消費者のナレッジは格段に上がっており、彼らの意見や行動が一連のマーケティングアクティビティの中で影響力を持つようになったのは明らかです。パーソナライズされたメッセージングに加え、顧客の疑問に耳を傾け、それに応える方法を見つけることがマーケティング担当者の新たなミッションとなっているのです。その上で営業やカスタマーサービスチームと連携し、顧客体験全体を通じて質の高いサービスを提供することが求められます。

④従業員アクティベーション

従業員が会社のプロモーション活動をすることはEmployee Advocacyなどと呼ばれます。その役割は多方面に渡っており、例えば商品やサービスを社員自らおすすめすることもあれば、企業そのものや社内カルチャーを発信する場合もあります。前者の場合は企業インフルエンサーのようなポジションでブランドイメージを向上させる役割となり、後者の場合はリクルート活動の一環として候補者に企業イメージを伝える役割となります。

Sociabbleによると、従業員がソーシャルメディアの投稿を通じて生み出したリードは、他のチャネルを通じて生み出したリードよりも7倍もコンバージョンする可能性が高く、さらに従業員が共有するコンテンツは、ブランドの公式チャンネルで企業が発信したコンテンツよりも8倍も多くのエンゲージメントを得ることができているそうです。このように内部の声を使ったマーケティングはとても有効な傾向があります。詳細はこちらの記事もご参照ください。

⑤コンテンツビジュアライゼーション

Google、Pinterest、その他多くがビジュアルサーチ技術に投資しています。既にGoogleの検索結果の19%が画像であり、Marketer.comの調べではミレニアル世代の62%が他の何よりもビジュアルサーチに興味があると答えているという調査結果もあります。文章にデータビジュアライゼーション、インフォグラフィック、画像、動画を加えることで、より興味深く魅力的なものになるだけでなく、記憶に残りやすくなります。

https://marketinginsidergroup.com/marketing-strategy/marketing-trends/

⑥検索行動の変化に伴うSEO対策の調整

モバイル検索や音声検索の普及に伴い、検索エンジンの使い方が変わりSERPで上位になることが必ずしも正解ではなくなってきています。Googleが提供しているフィーチャードスニペットでは、Googleが有益と判断したページから検索クエリーに対する答えを検索結果ページに表示するため、検索結果ページをクリックせずとも、求めていた情報が表示されます。オーガニック検索結果よりも前の位置、「ポジションゼロ」にフィーチャーされると非常に注目を集めることができます。フィーチャードスニペットに取り上げられるには通常とは異なるSEO技術が必要なため、フィーチャードスニペットで取り上げられるようなコンテンツを作るための最適化方法など、最新のベストプラクティスに注目しておきましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?2023年のマーケティングトレンドにおける3つのキーワードは「カスタマーエクスペリエンス(CX)」「従業員エンゲージメント」「コンテンツビジュアライゼーション」です。上で紹介した7つのトレンドはこの3つのいずれかに関連しています。「マーケティング」の定義は常に変化し、今後更に広範になってきます。マーケティング担当者はブランディングや広告宣伝の枠を超え、他の部門と協力の上、顧客や従業員などのステークホルダーと長期的な関係を築くことに注力することが必要です。

Iku Hirosaki
Iku Hirosaki
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廣崎 依久
取締役 兼 COO | Board Member and Chief Operating Officer

株式会社マルケト(現アドビ株式会社)にてインターン終了後、渡米。シリコンバレーのEd Tech企業、Courseraにてフィールドマーケティング及びエンタープライズマーケティングオペレーションに従事。その後シンガポールに渡りDSPベンダーのMediaMathにてAPAC地域のフィールドマーケティング及びマーケティングオペレーションを担当。01GROWTHでは教育サービスの開発に加え、国内外のコンサルティング業務を行う。著書に「マーケティングオペレーション(MOps)の教科書 専門チームでマーケターの生産性を上げる米国発の新常識」(MarkeZine BOOKS)と、レベニューオペレーション(RevOps)の教科書 部門間のデータ連携を図り収益を最大化する米国発の新常識(MarkeZine BOOKS)がある。

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