コンテンツマーケティングの戦略と計測

June 8, 2022

マーケティングの貢献を可視化することは多くのマーケターの課題であり、経営層から最も求められていることの一つです。その中でもコンテンツマーケティングの効果を証明するのに頭を悩ませているマーケターの方も多いのではないでしょうか?どんなに素晴らしいコンテンツを作っても、経営層から評価されるためにはその効果を証明できなければいけません。日々ブログやニュースレター、ebookなどの執筆や管理をしているコンテンツマーケターにとって、どのようにその効果を可視化するかは永遠のテーマです。Content Marketing Intstituteの2021年の調べでも、 「コンテンツ制作」「コンテンツ戦略」「パフォーマンス計測」がB2Bコンテンツマーケティングに関する課題のTOP 3として挙げられています。コンテンツ制作の効率化については先日の「コンテンツマーケティングにおけるAIの活用」で少し触れたので、今回はコンテンツマーケティングの戦略と計測についてご紹介したいと思います。

戦略

  1. カスタマージャーニー
    コンテンツマーケティングの戦略をたてる際はまずカスタマージャーニーを確認します。コンテンツマーケティングはよくトラフィック流入やリードジェネレーションなどのファネル上部の施策だと捉えられがちですが、カスタマージャーニーを一貫してコンテンツを通したコミュニケーションを継続することでその効果がはっきりと現れます。まずはカスタマージャーニーの各ステージでターゲットオーディエンスが必要とする情報や抱えている問題などを洗い出して、どんなコンテンツがあればプロスペクトを次の購買ステージへ進められるか、各ステージのコンテンツの役割を明確化することが重要です。

  2. 既存コンテンツを各ステージにマッピングする
    役割が決まったら、既存コンテンツを各ステージにマッピングします。コンテンツの種類やトピック、ボリューム、閲覧/ダウンロードするために個人情報入力の有無など様々な要素を踏まえて表にまとめると、比較検討ステージの気軽に消費できるライトコンテンツの種類が少ない、など全体を通したコンテンツの過不足状況がはっきりわかります。既存コンテンツをリサイクルしたり新しいコンテンツを作成したりして、カスタマージャーニー全体に適切な内容のコンテンツを行き渡らせます。カスタマージャーニーはペルソナによって大幅に変わりますし、顧客はマーケターが描いたカスタマージャーニーの通りにステップしていくとは限らないのでコンテンツマッピングも数パターン作り多角的に分析できたら更に良いでしょう。

    また、顧客になったら終わりではなく、リテンションやクロスセル・アップセル、ロイヤリティを構築するような既存顧客向けコンテンツや、リサイクルされたリードに対して再度興味を沸き立たせるようなコンテンツなども忘れずに作ります。会社によってこのエリアはマーケティングの管轄ではない場合もあるかもしれませんが、メッセージや他コンテンツとの兼ね合いといった意味でもマーケティングのインプットを入れることは重要だと思います。ポストセールスのコンテンツに関してはマーケティングだけではなくコンサル担当やテクニカルサポートなどの視点も交えてコンテンツを作ると効果的でしょう。

  3. 各ステージ、コンテンツ種類のKPIを設定する
    ここまでのヘビーリフティングが終わったら、これをもとに各ステージ、コンテンツ種類の目標を設定します。この時点では目指すべき指標も分かりやすくなっていると思います。「アウェアネスステージのコンテンツ経由のターゲットオーディエンスの新規トラフィックをX %増加」「ebookをX月〜X月にダウンロードしたオーディエンスからの問い合わせを%増加」など細かく目標を設定し、そのパフォーマンスを定量的にトラックできるようにします。


コンテンツパフォーマンスの計測

  1. 施策のパフォーマンス
    以上の要領でコンテンツの役割と目標を設定し、それに応じたコンテンツの補充をしたら残るは計測です。必要なツールを揃えることができれば各施策のパフォーマンスは設定した目標値を元に比較的簡単に計測することができると思います。この結果をもとに四半期ペースなどで振り返り、KPIの変更やアップデートをすることも大切です。

  2. 全体の収益に対するパフォーマンス
    各施策の計測ももちろん重要ですが、それを踏まえた全体の収益に対するパフォーマンスを証明することが大前提です。コンテンツマーケティングはほとんどの場合レベニューに直結しないため、以前のブログで紹介したマルチタッチアトリビューションモデルが重要になってくるでしょう。以下のようにカスタマージャーニーを一貫してコンテンツのタッチポイントを証明することができれば、経営層にも購買ステージを進める一要因としてコンテンツマーケティングを認識してもらえるようになります。
引用: Content marketing institute

コンテンツマーケティングは効果が出るまで最低でも1年以上かかるため、マーケティング部門外にその効果を説明するのは難しく感じている方も多いと思います。収益への影響を可視化するためにはマルチタッチアトリビューションモデルなどの環境を揃えなければ難しい点もあります。マーケティング部門全体で投資をして各施策の効果を可視化していくことがこれから更に必要不可欠となっていくでしょう。

Iku Hirosaki
Iku Hirosaki
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廣崎 依久
取締役 兼 COO | Board Member and Chief Operating Officer

株式会社マルケト(現アドビ株式会社)にてインターン終了後、渡米。シリコンバレーのEd Tech企業、Courseraにてフィールドマーケティング及びエンタープライズマーケティングオペレーションに従事。その後シンガポールに渡りDSPベンダーのMediaMathにてAPAC地域のフィールドマーケティング及びマーケティングオペレーションを担当。01GROWTHでは教育サービスの開発に加え、国内外のコンサルティング業務を行う。著書に「マーケティングオペレーション(MOps)の教科書 専門チームでマーケターの生産性を上げる米国発の新常識」(MarkeZine BOOKS)と、レベニューオペレーション(RevOps)の教科書 部門間のデータ連携を図り収益を最大化する米国発の新常識(MarkeZine BOOKS)がある。

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