ソーシャルコマースとは?

最終アップデート: 
January 26, 2023

ソーシャルメディアの中で直接商品やサービスの売買をするSocial Commerce。元々モバイル利用を前提としたソーシャルメディアは購買を含むさまざまなユーザーアクションをシームレスかつストレスフリーにするポテンシャルを持っています。

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Social Commerceとは


ソーシャルメディアの中で直接商品やサービスの売買をすることをSocial Commerceと呼びます。ソーシャルメディアは情報収集や会話の場といった元々期待されていた領域を超え、そのプラットフォーム内で購買まで完結する力をつけつつあります。ソーシャルメディアプラットフォームへのマーケティング予算投資額は年々増えており、費用対効果に厳しい経営陣やマネジメント層のソーシャルメディア経由の売り上げへの期待値の高さが伺えます。Sprout Socialの調によると2021年現在、ソーシャルプラットフォーム内での購買発生に期待を持っている企業の割合は10社中8社。下の図にある通り現在多くの企業が既にセールスプラットフォームとしてソーシャルメディアを活用し、さらにむこう3年への期待度も高くなっています。

引用:Sprout Social

Social Commerceツール

それではソーシャルコマースに適したツールやプラットフォームを見ていきましょう。まず第一に、ソーシャルコマースのプラットフォームに明確な定義は存在しません。よって、ソーシャルコマースに適したツールが備わっているソーシャルメディアプラットフォームを適宜選び取ってプロジェクトを実施することになります。ショッピングマーケットプレイスが組み込まれており一つのプラットフォーム内で購買まで完結するものもあれば、購買に関しては他ツールに飛ばす場合もあります。


Instagram

2017年にアメリカで「Shop Now」の機能が導入されて依頼、インスタグラムはソーシャルコマースプラットフォームとして重宝されるようになりました。商品投稿のタグ付けから、Instagram内で(外部ページに飛ばずに)商品詳細ページを確認、そのままSNS内で支払い情報を入力の上購入が可能になっています。(設定により、外部ページでの支払いが必要になる場合もあります)


Pinterest

Pinterestはビジュアルフォーカスのソーシャルメディアという点でInstagramと並び称されることもありますが、FacebookやInstagramのようなコミュニケーション重視のソーシャルメディアと違って、目的検索で使用されることの多い効率重視型のプラットフォームです。2010年のサービスローンチから5年後という素早さで「バイアブルピン(Buyable Pins)」を導入したPinterestは、2021年現在も引き続きソーシャルコマース機能を充実させ続けています。2018年10月にローンチされた「プロダクトピン(Product Pins)」機能は、特定商品と結びついておりその商品がユーザーフィードや検索で表示されるようになっています。ユーザーはピンクリックで購入サイトに飛び、ストレスフリーにショッピングを楽しむことが出来ます。



WeChat

ソーシャルコマースやライブコマースで最も成功を収めている国と言えばやはり中国ではないでしょうか。月間アクティブユーザー数12億人を超える中国発のSNS「WeChat」には3つのソーシャルコマース機能があります。その中でも近年注目を集めているのはWeChatアプリ内にサブアプリを作って店舗運用をするWeChat Mini-Programsというサービスです。2021年現在でアカウント数430万、4億人のデイリーアクティブユーザー数を誇ります。

WeChatアプリ内にダウンロード不要の(サブ)アプリを作り、その中でECモールの運用、クーポン発行、バーチャルショッピングツアーなどを実施することができます。中国大手ECモールであるJD.com(ジンドンモール)もこの機能を使ってWeChat Mini-Programsアカウントを開設しています。ジンドンモールのように独自のプラットフォームで既に確固たる地位を築いていても、WeChatの膨大なカスタマーベースに直接アプローチできるソーシャルコマースは魅力的なのでしょう。ただし日本企業がWeChat Mini-Programに参入するには開発ベンダーが必要になります。言語などのコミュニケーションストレスを考えると、中国で開発が可能な日系パートナーを探す必要があり、若干参入までのハードルが高いことが懸念点です。



TikTok

近年Z世代中心に一大トレンドを巻き起こしているソーシャルメディアプラットフォームといえばTikTok。TikTokは2016年にローンチされて以来、既にショッピング連携機能を複数ローンチしています。一つ目はShop Tag機能です。インフルエンサーや企業アカウントのプロフィールにShop Tagを作っておくことで、ユーザーやファンが商品カタログをアプリ内で閲覧することができるようになっており、自社購入サイトとリンクさせておくことも可能です。次にTikTok Product Tagです。このタグを投稿するショート動画に貼り付けておくことで、閲覧したユーザーがワンクリックで商品詳細ページに訪れることができます。また、最近最も注目されているのがライブコマースとのショッピング連携機能です。TikTok上で商品紹介などのライブセッションを実施し、そのライブスクリーン上に商品ページとCTAボタンを貼っておく事ができます。ユーザーは通常コンテンツと同様にライブセッションを楽しみつつ、興味があればすぐに紹介された商品をアプリ内で購入する事が可能です。

引用:Social Pilot



まとめ

Social Commerceの有用性を議論すると必ず比較対象に挙げられるのがeCommerce(EC)です。ECは今やどの業界にも欠かせないセールスチャネルですが、まだまだデスクトップユーザーが多いところに懸念点が残ります。大画面で情報を読み取るには便利なデスクトップですが、主にブラウザ利用時の購入前離脱が大きな損失になっています。海外含め昨今のトレンドはやはりモバイルファーストであり、モバイルアプリを始めとするモバイルでのユーザビリティ最適化がパフォーマンスを向上する鍵になっているのが実情です。元々モバイル利用を前提としたソーシャルメディアは購買を含むさまざまなユーザーアクションをシームレスでストレスフリーにするポテンシャルを持っており、その点でもソーシャルコマースの今後に期待できるでしょう。

Iku Hirosaki
Iku Hirosaki
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廣崎 依久
取締役 兼 COO | Board Member and Chief Operating Officer

大学在学中に株式会社マルケト(現アドビ株式会社)にてマーケティングインターン終了後、渡米。大学院にてマーケティングを学んだ後シリコンバレーに移りEd Techのスタートアップ企業、Couseraにてフィールドマーケティング及びエンタープライズマーケティングオペレーションに従事。その後シンガポールに渡りDSPベンダーのMediaMathにてAPAC地域のフィールドマーケティング及びマーケティングオペレーションを担当。01GROWTHでは教育サービスの開発に加え、国内外のコンサルティング業務を行う。著書に『マーケティングオペレーション(MOps)の教科書 専門チームでマーケターの生産性を上げる米国発の新常識』(MarkeZine BOOKS)がある。