マーケティング部門が使用するテクノロジーツールが増えたのに伴いそれらのテクノロジースタックをマーケティング部門全員が使いこなし、管理するのは難しくなってきています。このブログでは MOpsチームの役割をご説明しています。
DX化が進み、マーケティング部門が使用するテクノロジーツールの数は何倍にも増え複雑化してきました。それに伴い、それらのテクノロジースタックをマーケティング部門全員が使いこなし、管理するのは難しくなってきています。マーケティングオペレーションチーム、MOpsはマーケティング戦略の実現、そして効率的な運用のためにマーケティングテクノロジーツール、データ、プロセス、そしてチームをストリームラインする専門チームです。Adobe社の2021 Digital Trends reportでも、MOpsチームの役割が明確に割り当てられている企業はほかにくらべて、より良いパフォーマンスをするというデータも出ています。このブログでは MOpsチームの役割や重要性、他のマーケティングチームとの連携などについてご紹介したいと思います。
複雑化したマーケティングテクノロジースタック
数年前までのMartech Landscapeは目を凝らせばいくつかはロゴが見えるほどでしたが、2020年版は拡大せずには何も見えなくなってしまいました。高機能のマーケティングツールが増えるにつれ、マーケティング部門で使うツールの数は毎年どんどん増加しています。自社のマーケティングチームで使っているツールだが、自分の業務では直接使わないので実際何のためのツールなのか、どう使うのかわからないツールもたくさんあるのではないでしょうか?多様なチャネルでマーケティング施策を実施・計測・最適化するには必然的にある程度の数のツールが必要になります。これらのツールの検討、導入や運用、さらにプロセスの策定を担うのがMOpsチームです。マーケティングテクノロジースタックの専門家、とも言えるでしょう。
MOpsの役割
一般的にMOpsの役割は以下4つに分けることができますが、もちろんそのカタチや運用方法は企業それぞれです。
MOpsチームにはある程度テクニカルな知識が必要です。CRM/SFAやマーケティングオートメーションなどのビッグアイテムはもちろん、 グーグルアナリティクス、広告の各種プラットフォーム、BIなどのデータ分析ツールなど、様々なプラットフォーム上でデータがどのように使われ整理されているかを理解し、それを元に調整や適正化をする必要があるからです。ツールの導入やセットアップはIT部門に任せてもやってくれると思いますが、導入後にマーケティング施策に落とし込める人、マーケティングチームの視点から見れる人がいなければ宝の持ち腐れになってしまいかねません。IT部門と対等に話せて、かつマーケティングの視点をもつMOPsチームはまさにITとの架け橋的存在でしょう。
MOpsチームの一番大事な仕事と言っても過言ではないのが、プロセスの策定です。良いツールは素晴らしいキャンペーンを実行することはできても、その実行のために必要なプロセスを作ってくれるわけではありません。魅力的なツールを活用するにはプロセスを試行錯誤し、固めることが必要不可欠です。ナーチャーキャンペーンの最適化やリードスコアリングモデルの調整、セールスワークフローの変更など、日々様々な場面で微調整を繰り返し固めていくわけですが、これらの作業を責任範囲や担当地域などの単位で行っていてはベストプラクティスも固まりづらく、チーム全体の成功につながりづらくなってしまいます。MOpsがプロセスの策定をする1番の利点は策定した各プロセスをマーケティングチーム全体にスケールすることで各担当者がスムーズにそれぞれの施策に集中して実行できるようになることでしょう。MOpsという専門チームがいることでマーケティング部門全体の仕事効率化に繋がることは間違いありません。
データ分析もMOPsの大事な役割の一つです。キャンペーンレベルの測定や分析は各施策の担当者ができますが、マーケティングチーム全体のデータ分析やマーケティング施策の効果などを分析するのはMOpsチームになるでしょう。既存ダッシュボードに無いメトリクスを出したい時などは複数のプラットフォームのデータをつなぎ合わせるため、データビジュアライゼーションツールなどを使って分析する力が必要です。MOpsの中でも専門的な知識が一番必要な部分なので分析担当を設けると良いかもしれません。
新しいツールを導入する際や新入社員のオンボーディングもMOpsの大事な役割の一つです。各チームメンバーに必要な権限を付与し、自社の決めた方法でツールを正しく使ってもらうことはチーム全体の成功につながります。
気をつけること
これからもMOpsの責任範囲は広がるばかりです。MOpsチームの重要性、必要性は上記の通りですが気をつけなければいけないこともあります。それはMOpsから他マーケティング担当者へ、そして他マーケティング担当者からMOpsへ情報交換をしっかりすること、そしてMOpsチームをなんでもやさん扱いしないということです。
MOpsはどちらかというと機械的な仕事も多く、マーケティングキャンペーンの結果をデータで見ることはできても担当者の実際の肌感覚や感じたことは読み取ることができません。特にイベントなど、データで読み取りきれない要素が多くあるキャンペーンでは担当者のフィードバックが大変重要です。MOpsと他マーケティング担当者間の情報交換の場をしっかり確保することが大事です。また、テクノロジーツールでわからないことがあるとすぐに頼られる「なんでもやさん」にならないことも大切です。ナーチャリングメールの編集方法がわからない、やこのセグメンテーションでリストを作って欲しいなど基本的なQ&Aに全て対処していると、本来の業務に時間を当てられなくなってしまいます。そのためにも、各担当者が必要なレベルのツールの使い方を教育することが大事になるでしょう。MOpsがマーケティングツールの専門家という立ち位置だとしても、チーム全体でツールを活用するという心持ちが重要だと思います。