BtoBマーケティング人材のスキルギャップ

最終アップデート: 
July 19, 2023

テクノロジーの加速度的な発展及びバイヤーの購買行動の変容に伴い、新たなマーケティングスキルが求められています。そんな中、特にBtoBマーケティング人材のスキルギャップが昨今の大きな課題となっています。

参考書籍

「レベニューオペレーション(RevOps)の教科書 部門間のデータ連携を図り収益を最大化する米国発の新常識」のご購入はこちら

MOps101

「マーケティングオペレーション(MOps)の教科書 専門チームでマーケターの生産性を上げる米国発の新常識」のご購入はこちら

BtoBマーケティング人材のスキルギャップ

ガートナーの2022年マーケティング・テクノロジー調査によると、マーケティングテクノロジー機能を活用できているマーケティングリーダーはわずか42%であることがわかっています。2年前の2020年の58%から大きく減少しており、熟練したテクノロジー専門家や将来性のあるスキルを持ったBtoBマーケターが不足していることがわかります。

マーケティングテクノロジーの成熟度に対して、BtoBマーケターのテックスキルの成熟度が追いついていないという現状を、今こそ直視する必要があります。実際の調査データを見てみましょう。

  • 社内の人材が十分トレーニングされ、うまく機能していると見ているマーケターはわずか28%にとどまる(Clevertouch Marketing調べ)
  • 450名以上のデジタルマーケターへの調査では半数近くの48%が、テクノロジーを扱うスキル不足をトップ2の課題として挙げている(Clevertouch Marketing調べ)
  • イギリスのビジネスリーダー層の69%が、現在デジタルスキルギャップを抱えていると考えている(マイクロソフトとロンドン大学共同調査より)
  • 64%の管理職が、従業員が将来のスキルニーズについていけるとは思っていない(ガートナー調べ)
  • 70%の従業員が、現在の仕事に必要なスキルを習得できていないと答えている(ガートナー調べ)

現在のマーケティング組織において人材のスキルギャップに課題があるのは明らかです。では、実際にはどのような対処方法があるのでしょうか。

BtoBマーケティング人材のスキルギャップを埋める方法

成長に繋がるトレーニング

2022年のThe CMO Surveyでは、トレーニングがマーケティング費用の一部であると回答したのは調査対象となった組織のうち56%に過ぎず、半数近くのマーケティング組織がトレーニングや人材開発の優先度を上げておらず、投資も十分ではないことがわかります。しかし人材不足やスキルギャップが顕著な今、トレーニングと人材育成こそ投資計画の中で最優先事項と位置付け、最も力を入れるべき領域なのです。

個人が新しいテクノロジー、マーケティング手法、BtoBスキルの資格を取得することで、組織の力を高めることに繋がり、従業員の定着率も高まります。また、トレーニングを実装する際は会社側からその機会を与えることも重要ですが、同時に従業員自らがその活用を望む、成長の機会を望むアプローチが求められています。

マーケティングトレーニングサービスは多々ありますが、必要なマーケティングスキルを特定し、それに適したサービスを選定することが重要です。チャネルを動かす実務者のトレーニングならチャネルに特化した教育内容を、これらをまとめて戦術や戦略を立てる立場にある方にはチャネルをオーケストレーションし、さまざまなフレームを用いて戦略に落とし込むスキルを身につけられる教育内容が必要です。

01GROWTHでは戦略及び戦術設計に強いマーケターを育成するプログラムを提供しています。企業の中核人材となることを目的としたグローバル標準のBtoBマーケティングの戦略・戦術フレームワークを学んでいただけます。ぜひご参考にしてください。

アウトソースとマネージドサービス

マーケティング組織のスキルギャップに対処するための解決策の一つがアウトソースです。
コンサルティングはもちろん、MaaS(マーケティング・アズ・ア・サービス)と呼ばれるフルスコープのマネージドサービスモデルも登場しています。どのような形でも、最先端のマーケティングスキルを外部から獲得し、社内のマーケティング活動の実装に繋げられるようなサービスを提供できるかを見極める必要があります。

シェアードサービスの活用

デロイトが最近発表したグローバルシェアードサービスとアウトソーシング調査報告書によると、78%の組織がシェアードサービスモデルに投資することで、プロセスの標準化と効率化を両立させ、ビジネス成長を実現しています。シェアードサービスとは、複数のグループ企業からなる大企業が、特定の業務を一つに集約するモデルをさします。一般的に、経理や人事、法務などのコーポレート業務をシェアードサービスモデルです。これをマーケティングにも用いる会社が出てきています。

シェアードサービスの導入によって、高度なマーケティング機能や先進的なテクノロジーを、マーケティング部門に集中的に配備することができます。それから組織全体に拡大していくことで、指数関数的なビジネス成長に繋げることができます。

例えば、インテントデータをもとにしたマーケティングアプローチを実行する場合、初めて行う際はその度にセットアップと実装に時間と労力をかけなければなりません。一方で、他のビジネスユニットに横展開する際には、わずかな労力と時間で実装可能です。シェアされる側のビジネスユニットでは、必要なスキルを一から学ぶ必要はなく、既に築き上げたリソースを活用することで必要な成果を上げることができるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。新時代に適応したスキルセットを持つBtoBマーケターの不足はビジネス成長を妨げる大きな課題です。既に十分なスキルを兼ね備えている人材を大量に採用するのは、その母数及び競争環境を鑑みると非現実的です。つまり、現在の組織と人材をどれだけ活かせるかがビジネス成長の鍵を握ることになります。まずは現在の組織とその能力を理解すること、そして必要な状態とのギャップを埋めるソリューション(トレーニングやアウトソーシング)に投資することが必要です。

Iku Hirosaki
Iku Hirosaki
  |  
廣崎 依久
取締役 兼 COO | Board Member and Chief Operating Officer

大学在学中に株式会社マルケト(現アドビ株式会社)にてマーケティングインターン終了後、渡米。大学院にてマーケティングを学んだ後シリコンバレーに移りEd Techのスタートアップ企業、Couseraにてフィールドマーケティング及びエンタープライズマーケティングオペレーションに従事。その後シンガポールに渡りDSPベンダーのMediaMathにてAPAC地域のフィールドマーケティング及びマーケティングオペレーションを担当。01GROWTHでは教育サービスの開発に加え、国内外のコンサルティング業務を行う。著書に『マーケティングオペレーション(MOps)の教科書 専門チームでマーケターの生産性を上げる米国発の新常識』(MarkeZine BOOKS)がある。