データ戦略でマーケティングを強化する方法

最終アップデート: 
January 24, 2023

マーケティングツールやチャネルの増加で増え続けるデータ。ただしデータは、実用的なインサイトを提供してこそ価値があります。ビジネス成長の鍵はマーケティング強化のためのデータ戦略にあります。

参考書籍

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マーケティングツールやテクノロジー、チャネルや顧客との接点の増加により、運用するべきデータが年々増え続けています。このような状況下でマーケティング担当者は、自社ビジネスにとって最も重要となる指標を決定し、データをどのように利用できるかを明確にする必要があります。

ビジネスを前進させるには、データをドシドシ集めるだけではなく、それらを意味あるインサイトに変換し、実用性を持たせなくてはなりません。では、データドリブンな基盤を構築してマーケティングを強化するデータ戦略とはどのようなものなのでしょうか。

1. データの実用性を評価する

現在収集しているデータの実用性を評価したことはあるでしょうか。データの量は増えているのにそこから抽出するインサイトの量は変わっていないなど、非効率的なデータ管理をしている場合はデータの実用性を評価するフレームワークを活用してみるといいかもしれません。このフレームワークはファネル(セルフサービス型、営業支援型、ボトムアップ型、トップダウン型)に分かれており、上から下にいくほどにレベルが上がるようになっています。

https://www.madkudu.com/blog/the-cmo-framework-to-evaluating-data-actionability

全ての組織でレベル3まで、最低でもレベル2まで実現できるのが理想的です。例えば営業支援型ではGTMチームは収集したデータをもとに以下のアクションを取れることが求められます

  • レベル1:デモリクエストの対応
    獲得したすべてのデモリクエストにフラグを立て、適切にフォローアップを実現する。優先度が最も高く、SLAを守ることはもちろん素早く対応することが求められる
  • レベル2:フィットが高いアクティブユーザーの特定
    SaaSの場合はプラットフォーム上での行動データや企業属性情報、使用しているテクノロジーツールの環境や、および個人の属性情報に基づいて、自社とフィットの高いアクティブユーザを特定し営業担当とコネクションを作るように働きかける
  • レベル3:ペルソナ
    オーディエンスをユーザー、バイヤー、インフルエンサー、アドミンなど各ペルソナに分類し、それに基づいて適切なメッセージングを行うなどユーザー体験をパーソナライズする

レベル3の段階ではコミュニケーションが非常に重要で特に注意が必要です。経営幹部などがデモリクエストを行った場合は、製品を紹介するだけではなく、彼らにどんな価値を提供できるかというメッセージを伝える必要がありますし、逆にユーザーに対しては機能を細かく説明することが求められるでしょう。オーディエンスごとにセグメント化し、ペルソナに特化したコンテンツでセールスをサポートすることがコンバージョンを高め、最終的には案件の増加につながります。このように実際の実務にデータを活用できるか、それぞれ当てはめて考えてみると良いでしょう。

2. マーケティングチームとデータチームの連携を強化する

データドリブンにプロジェクトを進行するにはデータチームやエンジニアリングチームと機能横断的な強い関係を作ることが不可欠です。実際にどのような方法で連携を強化していけば良いのでしょうか。

データを専門的に扱うMOpsやデータ担当をおく

マーケティングチーム全員が同じレベルでデータ管理やオペレーションをできれば理想的ですが、実際には難しい場合がほとんどです。これがボトルネックになっている場合はデータの管理や分析を専門的に担当するポジションをマーケティングチーム内に作ると良いでしょう。海外ではMOps、マーケティングオペレーション担当がこの役割を担う場合もあり、各チャネルマーケターと密接に連携し、データの分析はもちろん正しいデータ収集を働きかけたりしているのです。新しいツール導入などもMOpsがサポートしているため、これらから上がってくるデータをマーケティングチーム全体が活用できるようなオペレーションの仕組みづくりも実現することができるのです。

また、MOpsよりもさらに専門的にデータをみるデータエンジニアやデータサイエンティストがマーケティングチームに組み込まれるケースも増えてきています。マーケティングデータが膨大に増えたことはもちろん、CRM、MA、広告ツールなど様々なツールに点在するようになった今、マーケティングパフォーマンスデータを意味ある形で繋げ、インサイトを抽出するのは大変難しくなっています。そのため社内に中央のデータ組織を持ちつつ、マーケティングチーム直属のアナリストやデータエンジニアが、戦略上重要な測定基準の優先順位付けと文脈付けを行うという組織形態が増えているのです。中央のデータ組織と連携することで、会社全体でデータオペレーションを確立することもできますし、組織を一気通貫して分析することができるのです。

MOpsとデータチームの連携を図る

1. プロジェクトブリーフを共有する 

このように専属のデータチームを設ける場合はMOpsチームと密接な連携が必要になります。プロジェクトで同じ目標に向かってデータをトラッキングするためにはミスコミュニケーションを減らすためにブリーフを作成し詳細情報を共有することが重要です。

2. アナリティクスチームを早い段階で、且つ頻繁に巻き込む

各チームが必ずしも必要な情報をすべて持っている訳ではないので、MOpsチームがアナリティクスチームを早い段階で、且つ頻繁に巻き込む必要があります。MOps担当者には、ビジネス目標に向けてプロジェクトを推進し、ステークホルダーおよびパートナーとしてアナリティクスを引き込む責任があります。

3. 現場からデータニーズを汲み取る

例えばマーケティング担当者が、営業担当と対話から有用なデータのヒントを得たらMOpsがそのデータの収集をデータチームへ依頼することができます。営業からのフィードバックを詳細に記録しておくことで、実際のビジネス上の課題に関連付けてデータ活用の背景を説明し、データチームへのリクエストを具体化することが可能になります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今日の多くの企業は、データは山ほどあるにも関わらず実用的なインサイトを得る手段がないという課題を抱えています。まずは自社にとっての実用性を基準に必要なデータを選別し、その上でデータドリブンなマーケティング施策を行うオペレーション体制を整えましょう。

Iku Hirosaki
Iku Hirosaki
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廣崎 依久
取締役 兼 COO | Board Member and Chief Operating Officer

大学在学中に株式会社マルケト(現アドビ株式会社)にてマーケティングインターン終了後、渡米。大学院にてマーケティングを学んだ後シリコンバレーに移りEd Techのスタートアップ企業、Couseraにてフィールドマーケティング及びエンタープライズマーケティングオペレーションに従事。その後シンガポールに渡りDSPベンダーのMediaMathにてAPAC地域のフィールドマーケティング及びマーケティングオペレーションを担当。01GROWTHでは教育サービスの開発に加え、国内外のコンサルティング業務を行う。著書に『マーケティングオペレーション(MOps)の教科書 専門チームでマーケターの生産性を上げる米国発の新常識』(MarkeZine BOOKS)がある。