Content Marketing 2022

November 11, 2022

2021年に行われたアメリカ企業の上級幹部を対象にしたアンケート(BtoBニュースソース企業Industry Dive調べ)では、67%が2022年以降コンテンツマーケティングの予算を増額していくと回答しています。このことからも、優れたコンテンツマーケティング戦略を持つことは、この先もしばらくマーケティング活動の重要ミッションであり続けると言えるでしょう。

本ブログではコンテンツマーケティングについて度々取り上げてきましたが、2022年も後半に差し掛かった今、改めて今のコンテンツマーケティングにおけるトレンドを確認しておきましょう。

1. メタバースマーケティング

メタバースとは主に仮想現実や拡張現実の技術を使った没入型の環境を指します。2021年時点で世界8500万人がこのバーチャルリアリティ空間を体験しており、2017年比較で2倍になっています。日本でも大手広告代理店などを中心にメタバースを活用した企業イベントなどが開催されており仮想現実の中で見せるコンテンツのバリエーションに注目が集まっています。アバターや360度のVRコンテンツなどはまだ広く普及していないものの、今後メタバースマーケティングの伸び代を考えると今から少しずつ準備を始めていくべきでしょう。ただし世界的にも活用事例がまだ少ないので、メタバースのコンテンツについては最新情報をキャッチして自社に合った形を見極めるところから始めていきましょう。

2. AIツールを活用したコンテンツ制作

AIツールによるコンテンツ制作の大半は自然言語処理(NLP)および自然言語生成(NLG)モデルを使用したブログや記事などテキストベースのコンテンツ制作です。AI生成コンテンツのSEO対策などは考える必要があるかもしれませんが、良質なコンテンツであると判断されれば最適化され多くの人の目に触れることとなります。コンテンツ制作にAIツールを使うことにより、人的リソースを抑えつつコンテンツを大量生産することができるようになった一方、その質は人の力で管理する必要があるということです。ここでは2つのAIツールをご紹介します。

  • Concured
    ConcuredはAIを搭載したコンテンツ戦略プラットフォームです。人工知能と機械学習を用いて、どんなトピックがエンゲージメントを高め、次に何を書くべきかをガイドしてくれます。コンテンツ監査、トピックリサーチ、データに基づくコンテンツ概要の作成、コンテンツプロモーション、コンテンツマーケティングのパフォーマンス追跡など様々なガイドをしてくれるのです。
  • Crayon
    Crayonは、AIとMachine Learningを用いて競合他社のオンライン施策を把握するソフトウェアです。企業のウェブサイトのメインページの経年変化を観察することでその企業のコンテンツマーケティング戦略、ターゲット、メッセージングなどのインサイトを獲得することができます。競合の戦略を理解することで、自社のコンテンツマーケティング活動のブラッシュアップに繋がります。

3. Value-Drivenコンテンツ

これからはValue-Driven(=価値主導型)コンテンツが主流になると言われています。パンデミック以前と比べて、「カスタマーからの共感」の重要度が増し、その流れの中で「サステナビリティ」や「多様性」がホットトピックとなりました。

例えばアウトドア用品メーカーPatagoniaは、環境保護への取り組みを積極的に行い、ソーシャルメディアなどあらゆるチャネルで発信を継続してきました。元々持っている価値に社会的意義が加わったことで、競合企業とは一線を画す存在になりつつあります。彼らが優れていたのはその取り組みだけでなく、そのコンテンツマーケティング力です。「環境保護」は非常に大きなテーマであり、取り組みを進めている企業は数多くあります。そのため、ファッションという視点から衣料品をリユースするWornwearプロジェクトを、自然・試料調達という視点から化学肥料を使わない農業としてビールプロジェクトを行い、キャッチーなビジュアルとマルチチャネルアプローチでカスタマーの心をしっかり掴んでいるのです。それでは実際にValue-Drivenコンテンツを生み出すプロセスを確認していきましょう。

  1. 自社の立ち位置を明確にする。
    自社が地域社会でどのような役割を担っているのか、環境に対する影響をどのようにマネジメントしているか?多様な人材の育成に取り組んでいるか?技術革新に適応しているか?を自問自答しながら答えを見つけ、メッセージングの方向性を形造ります。
  2. ブランドアイデンティティとバリュープロポジションを定義する
    ブランドを作ったそもそもの理由や、マーケットの課題を改めて見つめて自社ブランドのコアバリュープロポジションを明確に定義しましょう。
  3. メインスピーカーを決めてガイドラインを作る
    マーケティング、PR、商品開発チーム、カスタマーサポートなど、ブランドを語るすべてのチームで、ブランドミッションとビジョンの共通認識を確立しましょう。ブランドスタイルや使う色、フォント、ロゴの使用などだけでなく、トーンなど包括的なガイドを作成しましょう。
  4. コンテンツのイニシアチブと帰属先を明確にする
    現在のコンテンツは形式が多岐にわたっています。コンテンツ毎に誰が作成、所有、宣伝するかを明確にすることが重要です。
  5. コンテンツオーディット
    組織が大きくなればなるほどコンテンツの数が増え、メッセージングにばらつきが出てしまう可能性があります。まずはコンテンツオーディットを実施して、コア・コンピテンスを把握しましょう。
  6. 適切なツールを導入する
    コンテンツ管理ツールを使って、適切な人に適切なメッセージを、適切なタイミングで届けるために、ターゲットを絞ってセグメント化したアプローチをとりましょう。
  7. ストーリーテリング
    マーケティング予算がいわゆる準広告からソーシャルメディアなどの対話型に移行するにつれ、マルチメディアでストーリーテリングを重視する企業が増えています。配信チャネル毎に最適化したコンテンツ作りを心がけましょう。
  8. ケイデンスを作る
    毎日、毎週、毎月、四半期ごとに、どのような種類のメッセージを発信するか計画しましょう。コンテンツマーケティングの効果を高めるには「Alyways-On」(≒常に何らかの情報を発信している状態)であることが重要です。ブランドバリューを正しく受け取ってもらうには、常に発信し続けて継続したコミュニケーションを取りながら改善を重ねることが必要なのです。
  9. KPIを明確に設定する
    コンテンツマーケティングでは一貫した指標を決めておくことが必要です。エンゲージメントや記事購読、メール既読など、計測できる数値は数多くありますが、マーケティングファネルにマッピングして整理した上で自社の優先順位を決めましょう。「ブランドバリューの浸透に成功したコンテンツとは何か」を正しく判断し改善を重ねるべく、データとインサイトに基づいたアプローチを徹底しましょう。
  10. 素早く柔軟なPDCAサイクルを確立する
    昨今のチャネルでは特にシステムやトレンドが非常に早いスピードで変化します。そこに対応するためにも、PDCAサイクルを短くし、即座に行動できる環境を確保しておくことが必要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。ブランドパーセプション(カスタマーがブランドをどう受け取るか)の在り方が日々変化している中で、コンテンツマーケティングは大きな役割を担っています。取り組みそのものを計画する段階から、それらがどういうコンテンツになり得るか、どの指標を用いて計測し改善していくのかを想像しておくことをお勧めします。

Iku Hirosaki
Iku Hirosaki
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廣崎 依久
取締役 兼 COO | Board Member and Chief Operating Officer

株式会社マルケト(現アドビ株式会社)にてインターン終了後、渡米。シリコンバレーのEd Tech企業、Courseraにてフィールドマーケティング及びエンタープライズマーケティングオペレーションに従事。その後シンガポールに渡りDSPベンダーのMediaMathにてAPAC地域のフィールドマーケティング及びマーケティングオペレーションを担当。01GROWTHでは教育サービスの開発に加え、国内外のコンサルティング業務を行う。著書に「マーケティングオペレーション(MOps)の教科書 専門チームでマーケターの生産性を上げる米国発の新常識」(MarkeZine BOOKS)と、レベニューオペレーション(RevOps)の教科書 部門間のデータ連携を図り収益を最大化する米国発の新常識(MarkeZine BOOKS)がある。

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