コンテンツマーケティングにおけるペルソナの重要性と形成方法

January 26, 2023

そもそもペルソナとは

マーケティングにおける「ペルソナ」とは、あらゆる類似点(似たようなプロフィール、カスタマージャーニー、興味関心事)を持つ顧客グループを一人の人物として表したものを指します。「ターゲティング」と混同しがちですが、マーケットをセグメント分けして大枠で顧客像を捉えるターゲティングに対して、より詳細の個人にまで落とし込んだ半架空の人物像が「ペルソナ」に当たります。マーケティングにペルソナを活用する際にはバイヤーペルソナとブランドペルソナ両方を意識しておくと良いでしょう。

  • バイヤーペルソナ:自社の商品・サービスに興味を持つ可能性の高い人(=潜在顧客)のプロフィールや行動をまとめたものを「バイヤーペルソナ」といいます。これは定量および定性マーケットリサーチを基に作成することで顧客を深く理解することはもちろん、それによって意思決定が迅速になるというメリットがあります。
  • ブランドペルソナ:「ブランドペルソナ」とはあなたの会社の個性(ブランドイメージや価値観)を表したものです。マーケティング活動において、バイヤーペルソナのみを作成するケースが少なくありません。その場合ブランドアイデンティティなしにコミュニケーションをとることになり、発信するコンテンツのトーン、マナーや方向性がブレてしまったり、セールスプランが脆弱になる懸念があります。顧客が商品・サービスそのものの価値だけでなくその裏側にあるストーリーに着目して意思決定するというトレンドを鑑みても、ブランドペルソナの確立は今や外せないマーケティングステップの一つと言えるでしょう。


バイヤーペルソナの構築方法

STEP1: デモグラフィック情報
まずはペルソナの基礎となるデモグラフィック情報を決定します。

  • 性別
  • 年齢
  • 居住エリア
  • 家族構成


STEP2: 職業情報
上記で定めたペルソナがどのような職業でどのような役割を持っているのか、およびその中でどんな困難に対峙しているのか詳しく描写します。

  • 職種とその中での役割は何か
  • どのような会社/業界で働いているか
  • 所属する組織内でどのくらいの期間、このポジションに従事しているか
  • どのような経験や専門知識を持っているか
  • 部署内外とどのように関連しているか
  • どのような目標を達成する必要があるか
  • 仕事で感じている課題はなにか
  • どのような問題を解決する必要があるか


STEP3: 典型的な1日の流れ
ある程度の背景情報を設定したら、具体的な1日を切り出してストーリーを作成し、よりリアルな人間らしさを追加します。

  • どんな1日の流れを送っているか
  • 1日の中でどんなことが起こるか


STEP4: 課題を感じるポイント
ペルソナは日々どのような問題に直面しているのか、そしてそれらが日常生活にどのような影響を与えているのかを想像しましょう。

  • 問題がペルソナに与える精神的影響
  • 具体的にどのようなネガティブな影響をあたえているか


STEP5: 価値を感じるポイント

  • 提供する商品・サービスの中でペルソナが最も興味を持つのはどこか
  • 提供する商品・サービスの中でペルソナが最も魅力を感じるのはどこか
  • 逆にペルソナが気に留めない部分は何か


STEP6: 情報源
コミュニケーションの場所や手段を決定する上で、ターゲットのペルソナがどこでどのように情報を入手しているかを把握することは大きなヒントとなります。

  • どんなSNSを使用しているか
  • 最も信用している情報源は何か(家族や友人のおすすめ情報/ネット上のクチコミ/テレビのニュース等)
  • どのようなコンテンツを好むか
  • 各情報をどのようなタイミングで入手するか
  • ペルソナが有益だと感じる情報の特徴は何か
  • ペルソナが有益だと感じた情報に対する行動は何か(オンライン上でシェア/家族や友人に話す等)


STEP7: ショッピング体験
ペルソナがショッピング体験に求めることや期待値を確認します。

  • 商品・サービスにどのような期待しているか
  • どんなショッピング体験を好むか


STEP8: 不満やクレーム
ペルソナが抱くであろう不満を予測することで、クレームに備えることができます。

  • 提供する自社商品・サービスの中で最も不満を抱きやすい部分はどこか
  • 不満を感じた時どのような行動をとるか
  • 不満が起こる主な原因は何か

ブランドペルソナの構築方法

STEP1: 基本となる人物像を決定
ブランドを一人の人間に見立てて以下のような質問を問いかけてみましょう。

  • 何歳ですか?
  • 職業は何ですか?
  • どんな性格ですか?
  • 顧客とどのようにコミュニケーションを行っていますか?
  • 世の中におけるあなたの役割は何ですか?
  • 競合他社との違いは何ですか?


STEP2: 個性を形成
次にあなたの会社の「性格」を形成していきます。

  • ユーモアがあるか、真面目か
  • 手頃な価格なのか、高価なのか
  • 利益追求心が強いか、ボランティア精神が強いか
  • 伝統的な雰囲気か、先進的か


STEP3: 発信するブランドメッセージのトーンとマナーを決定する
メッセージは、ブランド・アイデンティティを体現するものです。これまでのステップで確立してきた人物像とメッセージがマッチしていることを確認しましょう。

  • メッセージのフォント・雰囲気・スタンス
  • 発信場所(ソーシャルメディア、ウェブ、Eメール、ランディングページなど)
  • メッセージ発信のタイミング


ペルソナを使った効率的・効果的なコンテンツマーケティング


ペルソナが完成したら、コンテンツマーケティングにおけるペルソナ活用の具体的なステップを確認していきましょう。

STEP1: 閲覧・購読するオーディエンスを明確にする
このステップが先ほどご説明したペルソナ作成の段階です。全てのコンテンツは、明確に誰が閲覧するのかを意識して作られるべきであり、それを意識せず制作されたコンテンツは無駄になり(読まれないものとして残り)莫大なマーケティング費用の損失に繋がりかねません。

STEP2: ペルソナに類似している人物が作成したコンテンツの参照
作成したペルソナに類似している人たちが制作したSNS上の投稿文章や映像、または公式ブログなどを探して、よく観察してみましょう。この作業はターゲットペルソナの好むコンテンツスタイルを理解するだけでなく、より深くペルソナを理解するのに役立ちます。

STEP3: トピックとフォーマットを確定
次のステップは、具体的に何を書くかを決めることです。重要なのはオウンドメディアでオーディエンスを獲得し、最終的には有料のお客様になってもらうことです。ペルソナが持つ要素・個性を自社の強みと照らし合わせてトピックリストを作成します。

STEP4: 情報発信の場所と方法を選択
設定したペルソナの情報収集場所を特定して発信方法を決めていきます。Googleアナリティクスのセグメント機能を活用して、オーディエンスの情報を集めていきます。現状の全チャネルからの流入データを確認し、新たなセグメントを追加・検証しましょう。その中で最も効果的な情報発信場所と、それに伴うコミュニケーションの方向性を決めていきます。

STEP5: カスタマージャーニーにコンテンツをマッピング
あらゆる種類のコンテンツを効果的な場所に配置するにはペルソナのカスタマージャーニーに着目することが有効です。マーケティングファネルに沿って順番に整理していくと抜け漏れ防止になります。認知フェーズでは、ペルソナの抱える課題感にアプローチするコンテンツ、検討フェーズではより具体的な事例を使った説明やフリートライアルのCTAが有効です。獲得フェーズでは、商品・サービスのメリット、成功のエビデンスなどをハイライトするコンテンツが有効で、他社での成功事例なども適宜入れ込むと信頼度が上がるでしょう。

STEP6: コンテンツカレンダーを充実させる
ある程度のフレームが出来てきたら、効率良く運用する座組みを整えましょう。Googleスプレッドシートの活用はシンプルでおすすめです。

  • ステータス(進行中/完了済)
  • 締め切り
  • プロジェクトオーナー
  • コンテンツの種類(レギュラー/キャンペーン)
  • コンテンツタイトル
  • コンテンツのビジネスゴール
  • カスタマージャーニーのどの段階がターゲットか


まとめ


コンテンツを継続的に制作して発信し続けるコンテンツマーケティングは最低でも1年以上の時間と労力を要します。せっかく溜めてきたアセットが無駄にならないようにするには「誰向けであるか」を出来る限り明確にすることが重要です。具体的なペルソナに向けてコンテンツを制作することにより、対象となる顧客が商品・サービスについて具体的なイメージを持つことができるようになります。効率的なコンテンツマーケティングを一貫して実施していくためにも、リアルな人物像が背景にあるペルソナを初期段階で構築して活用していくことが大切です。

Iku Hirosaki
Iku Hirosaki
  |  
廣崎 依久
取締役 兼 COO | Board Member and Chief Operating Officer

株式会社マルケト(現アドビ株式会社)にてインターン終了後、渡米。シリコンバレーのEd Tech企業、Courseraにてフィールドマーケティング及びエンタープライズマーケティングオペレーションに従事。その後シンガポールに渡りDSPベンダーのMediaMathにてAPAC地域のフィールドマーケティング及びマーケティングオペレーションを担当。01GROWTHでは教育サービスの開発に加え、国内外のコンサルティング業務を行う。著書に「マーケティングオペレーション(MOps)の教科書 専門チームでマーケターの生産性を上げる米国発の新常識」(MarkeZine BOOKS)と、レベニューオペレーション(RevOps)の教科書 部門間のデータ連携を図り収益を最大化する米国発の新常識(MarkeZine BOOKS)がある。

Let's Talk!

レベニュー組織に関する課題やお悩みについて、ぜひお気軽にご相談ください。