iPaaS導入におけるマーケティング部門のメリット

最終アップデート: 
January 26, 2023

最近脚光を浴びているiPaaS。テレワークやDXが進みSaaS製品を導入する企業が増え、IoTや使用するクラウドソフトウェアの数が急激に増えた今、iPaaSで実現できる「ワークフローオートメーション」の需要も増えました。

参考書籍

「レベニューオペレーション(RevOps)の教科書 部門間のデータ連携を図り収益を最大化する米国発の新常識」のご購入はこちら

MOps101

「マーケティングオペレーション(MOps)の教科書 専門チームでマーケターの生産性を上げる米国発の新常識」のご購入はこちら

最近脚光を浴びているiPaaS。iPaaS(integration platform as a service)は2000年代後半に生まれ、今では全世界で数十億ドル規模の市場になりました。テレワークやDXが進みSaaS製品を導入する企業が増え、IoTや使用するクラウドソフトウェアの数が急激に増えた今、iPaaSで実現できる「ワークフローオートメーション」の需要も増えました。今日はiPaaSを導入することでマーケティング部門にとってどんなメリットがあるのかをご紹介したいと思います。



そもそもiPaaSとは



名刺管理やビジネスチャット、SFA、MAやプロジェクト管理など、マーケティング部門に直接的に関係のあるものはもちろん、請求書管理やカスタマーサービス、会計ソフトなど会社で使用するソフトウェアの数は急速に増えていると言われています。下の図は企業の従業員とSaaSアプリのコネクションを表しています。それぞれの線がアプリと従業員のコネクションを表しており、従業員18人の会社でも81のSaaSアプリとの接点があることがわかります。そんな中それぞれのソフトウェアの導入やインテグレーションには時間と労力がかかりますし、複数ソフトウェア間を移りながら仕事をするのは非効率性の元にもなります。会社によってはオンプレミス基盤に構築されているSoRシステムをデジタル化するのに苦戦している場合もあるでしょう。


引用: Blissfully Annual Saas Report 2019


その問題を解決するのがiPaaSです。iPaaSは一言でいうとオンプレミス環境とクラウド環境のインテグレーションを簡素化し、会社全体のオートメーション化を実現するソリューションです。iPaaSはクラウドを介して複数ソフトウェア・アプリを統合しデータを一元管理することで効率化、コストカット、セキュリティ強化を実現します。マーケティングチームの使うソフトウェアから採用プラットフォームまで全て統合し、業務のオートメーション化を実現することができるのです。プレイヤーとしてはSalesforceが2018年に買収したMulesoftやZapier、Oracleなどのビッグネームや、Workatoなどの独立系が挙げられます。



マーケティング部門のメリットとは?

では、マーケティング部門にとって、iPaaSの導入はどんなメリットがあるのでしょうか?マーケティングチームは「MOPsチームの役割」でもご紹介した通り、数多くのツールを使っているためiPaaSによって一番恩恵を受ける部門と言われています。


  • オートメーション化で柔軟なマーケティングプログラムの設計ができる

iPaaSによって統合したマーケティングオートメーション、Eメール配信ツール、ソーシャルメディア管理ツール、eコマースなど複数ソフトウェア間で柔軟なマーケティングプログラムの設計ができます。もちろん今までもインテグレーションをすればデータ連携はできていました。しかし多くの場合、使用している何十ものマーケティングソフトウェアを全て連携し、全マーケティング活動のデータを一貫して管理できている会社はそこまで多くないでしょう。どんなに最先端のツールをかき集めても全ツールが繋がっていなければデータはサイロ化しマーケティングプログラムの成果も見えづらくなってしまいます。iPaaSは何千もの他のアプリと簡単に連携できるため、今までは複雑なインテグレーションが必要だった、POSデータを広告プラットフォームに連動したり、CRM・MA・SFA・データビジュアライゼーションプラットフォーム間のカスタムオブジェクトの同期などを数クリックで完了することができます。


  • 部門を超えたコラボレーションがスムーズにできる

iPaaSを導入することでマーケティングとセールス、カスタマーサービスなど様々な部門との連携がスムーズになります。例えば、既存顧客に対してアップセルなどの目標でキャンペーンを実施したい場合、カスタマーサービスプラットフォームとCRM・MA・メールマーケティングソフトが全て連携されていたら顧客の過去のカスタマーセンターとのやりとりやタイミングなどのデータをマーケティング活動に活用することができますよね。このように他部門との連携が強くなれば顧客ライフサイクルを通じたデータ連携ができるため、さらにパーソナライズされたメッセージを適切なタイミングで配信できるようになるでしょう。

引用:  Ricksoft公式ホームページ



いかがでしょうか。混沌化している社内のツールを全て一貫してインテグレーションすることで顧客や見込み顧客の姿をデータではっきりと可視化することができ、マーケティング活動の効率性や質が向上することは間違い無いでしょう。また、マーケティング部門を超えて全社単位で業務のオートメーション化を図れば業務効率や時間の節約など様々な利点が生まれます。会社全体でインテグレーションの必要性を議論し、iPaaSの検討を進めてみてもいいかもしれません。

Iku Hirosaki
Iku Hirosaki
  |  
廣崎 依久
取締役 兼 COO | Board Member and Chief Operating Officer

大学在学中に株式会社マルケト(現アドビ株式会社)にてマーケティングインターン終了後、渡米。大学院にてマーケティングを学んだ後シリコンバレーに移りEd Techのスタートアップ企業、Couseraにてフィールドマーケティング及びエンタープライズマーケティングオペレーションに従事。その後シンガポールに渡りDSPベンダーのMediaMathにてAPAC地域のフィールドマーケティング及びマーケティングオペレーションを担当。01GROWTHでは教育サービスの開発に加え、国内外のコンサルティング業務を行う。著書に『マーケティングオペレーション(MOps)の教科書 専門チームでマーケターの生産性を上げる米国発の新常識』(MarkeZine BOOKS)がある。