マーケティングオペレーション(MOps)に必要なスキル

最終アップデート: 
March 3, 2023

DXの流れの中でマーケティングツールの数と複雑さが増す昨今、MOpsの実装が求められています。MOpsに必要なスキルとはどのようなものがあるのか、詳しくみていきましょう。

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MOpsの役割は①IT部門とマーケティングチームの架け橋②プロセスの策定③分析④マーケティングチームのテクノロジー教育の4つに大別されます。それではこの4つをカバーするために必要なスキルとは何でしょうか?ここではMOpsに必要なスキルに6つに焦点を当ててご紹介します。なおMOpsの役割について詳しくご覧になりたい方はMOpsチームの役割に関するBlogをご参照ください。

テクノロジーオートメーション&インテグレーション

まず第一にテクノロジーへの精通です。MOpsを執り行う上でマーケティングオートメーション(MA)の知識と経験値を持っていることは大前提となっていますが、特にマーケティングシステムの構築や開発に携わるMAOのプロフェッショナルにとって、プラットフォーム同士がどのように統合され、連携しているのかを理解することが重要になっています。さらに、MAのカバー領域が広がりつつあるため、テクノロジーの選択、最適化、戦略策定、システムの統合も必要なスキルとなっています。

これらのスキルセットを持つことにより、以下のようなタスクを実行することができるでしょう。

  • テクノロジーロードマップの作成
  • インフラ管理
  • システム監査
  • ベンダーのマネジメント

データマネジメント

データマネジメントスキルとは膨大なデータの中から適切なインサイトを得るため、データの管理や加工をするスキルです。具体的にはデータを標準化したり、クリーンな状態に保ったり、品質を維持することはもちろん、データガバナンスとコンプライアンス、ビジネスインテリジェンス(BI)、データおよびデータベースの管理も含まれます。マーケティングデータが指数関数的に増えている今、データマネジメント=IT部門の仕事と捉えることなく、データマネジメントプロセスを自ら監督・理解し、データが適切に収集・管理されているか直接確認する意識が必要です。Google AnalyticsやExcelなどのデータ分析ツールへの精通はもちろんのこと、Tableauなどの使用経験があればボーナスポイントとなるでしょう。

キャンペーン分析&レポーティング

MOpsリーダーにはマーケティングキャンペーンのパフォーマンスを正確に評価し目標達成のためのソリューションを導くスキルが必要です。具体的には、定められた期限と予算内で目標を達成するため、パフォーマンスのトラッキングを正しく設定し実用的なインサイトを導き出すこと、過去のデータ、顧客データ、行動データを正しく読み込んだ上で意思決定を行うことが求められます。マーケティングキャンペーンを長期にわたって学び、改善プロセスを確実に回していくには、データの読み方、データからのインサイト抽出の仕方、レポーティング、分析全てを理解する必要があります。

これらのスキルセットを持つことで以下のようなタスクを実行することができるようになります。

  • 設定されたメトリクスとKPIに基づくレポーティング
  • ダッシュボードの設定と管理
  • データからのインサイト抽出
  • ステークホルダーへのインサイトの提供
  • 意思決定のための顧客データ、行動データの把握

ワークフローの構築と最適化

マーケティングプロジェクトを時間通り、予算通り、高い水準で完遂することこそがMOpsリーダーの重要なミッションです。そのためには拡張性のある効率的なワークフロープロセスを構築するスキルを身につけることが必要です。リード管理、リードスコアリング、セグメンテーション、アセット活用、キャンペーン作成など、MOpsリーダーがさまざまなプロセスを効率化する必要があります。プロセス構築は時間のかかる重要な作業ですが、それ自体に満足してしまわないように注意が必要です。プロセスを構築することにフォーカスしてしまい、実際のところ効果的なPDCAが回っていないという状態に陥ってしまわないように常に本質的なアプローチを心がけましょう。

これらのスキルセットを持つことにより、以下のようなタスクを実行することができるようになります。

  • キャンペーンの設計、構築、実行
  • リード管理、スコアリング、ナーチャリング
  • リードのセグメンテーションとライフサイクルステージ
  • 基準値の設定
  • コンテンツ運用
  • アセット活用
  • オポチュニティ管理

チームへの導入とスキル開発

マーケティングテクノロジー導入成功の裏には必ずといってよいほど人材育成の成功があります。マーケティングテクノロジーは、チーム全体がそれを学び、正しく使用することによって初めて機能するからです。従ってMOpsリーダーは、マーケティングチームのコーチとしての役割も担うことになります。新しく導入したシステムやプロセス、プラットフォームの使い方に関するトレーニング、効率的な活用方法やベストプラクティスの共有をチームメンバーをそれぞれの強みに合わせて行うことで彼らが確実に高い水準でパフォーマンスを出し続けられるようにサポートします。

これらのスキルセットを持つことにより、以下のようなタスクが実行できるようになります。

  • 新しいシステム、プロセスに関するユーザーへのトレーニング
  • マーケティングオペレーションスキルのトレーニング
  • マーケティングイネーブルメント

プロジェクトマネジメント

言わずもがな、マーケティングオペレーションのカバー領域はテクノロジー理解、プロセス構築、データマネジメント、戦略策定、プランニング、人材開発と多岐にわたります。これら全てを把握しながらゴール達成へと組織を確実に導くためには高いプロジェクトマネジメントスキルが必須となります。このスキルに関しては経験値が必要である一方、ロジェクトマネジメントプロフェッショナル(PMP)などの資格を取得しても大変役立つでしょう。そうすることにより、複雑なプロジェクトのマネジメントにも自信を持って取り組み、ゴール達成への道のりが見えやすくなります。

これらのスキルセットを持つことにより以下のようなタスクが実行できるようになります。

  • マーケティングプランニング
  • 予算管理およびトラッキング
  • プロジェクトのタイムラインの作成と管理
  • リソース管理
  • 財務コンプライアンス
  • など

まとめ

いかがでしたか?MOpsの特性上、担当者は幅広い領域をカバーするスキルを身につける必要があります。経験の中で得て育てるスキルセットも多い一方、まずはさまざまなマーケティングチャネルの知識とフレームワークを身につけて準備をしておくことをお勧めします。01Growthの提供する01growth Digital Marketing CourseではB2Bマーケティングのさまざまなフレームワークやチャネルについて学習していただけます。ご興味のある方はぜひ覗いてみてください。

Iku Hirosaki
Iku Hirosaki
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廣崎 依久
取締役 兼 COO | Board Member and Chief Operating Officer

大学在学中に株式会社マルケト(現アドビ株式会社)にてマーケティングインターン終了後、渡米。大学院にてマーケティングを学んだ後シリコンバレーに移りEd Techのスタートアップ企業、Couseraにてフィールドマーケティング及びエンタープライズマーケティングオペレーションに従事。その後シンガポールに渡りDSPベンダーのMediaMathにてAPAC地域のフィールドマーケティング及びマーケティングオペレーションを担当。01GROWTHでは教育サービスの開発に加え、国内外のコンサルティング業務を行う。著書に『マーケティングオペレーション(MOps)の教科書 専門チームでマーケターの生産性を上げる米国発の新常識』(MarkeZine BOOKS)がある。