マーケティング予算2022

最終アップデート: 
November 11, 2022

Gartnerの調査では2022年マーケティング予算は回復傾向にあり、2021年が売上高の6.4%だったのに対し9.5%まで増加するそうです。それでもパンデミック以前の11%には届かないという現状の中マーケティング予算にどう向き合うべきなのでしょうか?

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2022年マーケティング予算の傾向予測

https://www.lxahub.com/stories/marketing-budgets-2022-stats-and-trends

昨年、レベニューに対するマーケティング予算はその前の年の11%から6.4%に落ち込み、今年に入ってもウクライナ情勢やインフレなど逆風が大きい状況です。しかしGartnerの調査を始め、各指数を見てみるとポジティブな見解が目立ちます。

2022年マーケティング予算の配分

Gartnerの調査によると2021年のマーケティング予算のうち、最も大きな割合を占めていたのはマーケティングテクノロジー(26.6%)でした。マーケティングテクノロジーの勃興は業界のホットトピックであり、本ブログでもテクノロジーのバリエーション増加とそれに伴うMOpsの重要性を幾度もご紹介しています。

またコンテンツマーケティングへの投資額も増加する傾向にあります。MarketingprofsCMIによる最新レポートでは、B2Bマーケターの43%が2020年との比較で2021年のコンテンツマーケティング予算を増加していると回答しており、予算編成プロセスに関わる66%のビジネスパーソンが2022年の予算は更に増加するとの見解を示しています。またCMOの決断による投資先トップ3は以下の通りであり、ここでもMOpsの重要性が伺えます。

  1. キャンペーン運用(10.1%) 
  2. ブランド戦略(9.7%) 
  3. マーケティングオペレーション(9.6)

マーケティング施策別の傾向

四半期を通じて投資額が最も伸びたマーケティング施策はマーケティングイベント、中でもパネリストへの投資が2021年の-3.9%から18.7%にまで増加しました。イベントへの投資はB2B企業がB2C企業を上回り、オフライン予算16.4%に対し21.9%を割り当てています。投資増加が目立つ業界は金融サービス(売上高の10.4%)旅行・接客業(売上高の8.4%)ハイテク製品企業(売上高の10.1%)でした。また、主にブランディング目的の主要メディア予算の予算拡大も堅調で、前四半期の3.1%から9.4%へと増加しています。中でもオンライン広告が18.6%増、特に動画広告が9.0%増でこのカテゴリーの成長を牽引しています。

主要メディア以外でも、セールスプロモーション、ダイレクトマーケティング、PRの予算がそれぞれ伸びており、中でもセールスプロモーションは、8%の企業で予算増、ダイレクトマーケティングは6.0%の企業で予算増があると見られています。

市場調査予算に関しては、2021年2四半期で増加傾向であったものの2022年第1四半期の市場調査では、-3.5%の純減となっています。B2C企業のオフライン予算で最も多いのは引き続きテレビ(OTTとコネクティッドテレビを除く)で、売上高の16.7%を占めています。

デジタル施策への予算配分

GroupMによると、マーケティング予算全体のシェアは昨年縮小したにも関わらず、デジタル広告費は30.5%伸びており、2022年中にさらに13.5%成長するようです。

2022年のデジタルチャネル予算は全体の56%を占め、中でもソーシャルメディアが支出額でトップとなりました。デジタル媒体への支出では、ソーシャル広告がトップで、検索連動型広告とデジタルディスプレイがそれに続いています。全米広告主協会は「ディスプレイ広告は2022年に検索と互角になり、2023年にはそれを追い越す態勢にある」と予測しています。またテックツールへの投資額は、2021年に売上高の5%まで下がっていたものの、2022年には10.1%まで戻っており今後の更なる投資増が期待できます。

カンターの調査によると、76%のマーケティング担当者がオンラインビデオ広告のメディア予算を拡大する意向を表明しています。同調査では以下5つが今後のプライオリティとして挙げられています。

  • インフルエンサーを起用したブランディングコンテンツ
  • ソーシャルメディアストーリー広告
  • ソーシャルメディアフィード広告
  • スマートTVでストリーミング配信されるTV広告
  • オンライン・ディスプレイ広告

マーケティング予算の今後

ほとんどの企業でブランド構築にかける費用は50%減となっている現在、インフレやウクライナ戦争など、回復への強い逆風も無視できない状況です。S&Pグローバルは、2022年と2023年のGDP成長率予測を4.0%と1.8%から2.8%と1.2%に引き下げており、この成長鈍化は、マーケティング予算、特に広告費にマイナスの影響を与えることが予想できるものの、調査対象企業のうち33.1%が、2022/23年のマーケティング予算が増加すると予想しています。IPAも同様のポジティブな見解で、今後数年間マーケティング予算に対する時事問題の影響は少ないと捉えています。業界全体の財務状況に対しては悲観的な意見を持つ一方で自社の見通しに関しては楽観的であるという状況を鑑みると、積極的なマーケティング投資で自社の成長を進める時期であると言えるでしょう。

まとめ

CMOやマーケティングリーダーは政治経済が複雑に動く不確実な情勢の中でも常にビジネス成長に繋がる予算戦略を立てることが求められます。どんな状況も乗り越えていける長期的に強いブランドを作り上げることに対して投資が増えていくことは間違いないでしょう。

Iku Hirosaki
Iku Hirosaki
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廣崎 依久
取締役 兼 COO | Board Member and Chief Operating Officer

大学在学中に株式会社マルケト(現アドビ株式会社)にてマーケティングインターン終了後、渡米。大学院にてマーケティングを学んだ後シリコンバレーに移りEd Techのスタートアップ企業、Couseraにてフィールドマーケティング及びエンタープライズマーケティングオペレーションに従事。その後シンガポールに渡りDSPベンダーのMediaMathにてAPAC地域のフィールドマーケティング及びマーケティングオペレーションを担当。01GROWTHでは教育サービスの開発に加え、国内外のコンサルティング業務を行う。著書に『マーケティングオペレーション(MOps)の教科書 専門チームでマーケターの生産性を上げる米国発の新常識』(MarkeZine BOOKS)がある。