マネジメント層に響くマーケティング活動のレポート方法
January 26, 2023
キャンペーン実施後のレポーティングフェーズにおいて、キャンペーンの結果とビジネス全体のゴールの結びつきが見えづらく「一体なんのためにやったのか?」という議論が巻き起こっているところを散見します。この問題は何も社内だけで起こるものではなく、エージェンシーとクライアント、パートナー会社間など外部とのプロジェクトの中でも頻繁に起こる困った問題です。ビジネスと全く関係のないキャンペーンを実施することはないわけで、こういった議論が起こるのは往々にしてマーケティングに関わる言語の持つ多様さ、不確かさが原因だと言えそうです。
マネジメント層が注目するのは利益やROIなど常に財務上のゴール。一方マーケティング担当者は、オーディエンスリーチ、エンゲージメントの高いコンテンツ制作、などいろいろなゴールを持っていますが、それらはいつも財務的な目標に直接的に結びついているわけではありません。つまり、マネジメントにマーケティングの効果を理解してもらうには、自分のゴールを財務的な成果にマッピングして関連性を高める必要があるのです。
マネジメント層にマーケティング活動の意義を感じてもらうためには彼らのフォーカスする財務上のビジネス領域と個々のマーケティング活動をブリッジする何かが必要です。そのヒントとなるのはマーケティング活動の中で使用する言語をビジネス全体のゴールとすり合わせることでしょう。
マーケティング特有の言葉
マーケティング活動では特有の言葉が多々使われており、各チームが持つ責任の方向や領域によって意味が変わってきます。「バリュープロポジション」という言葉を取り上げてみましょう。営業担当部長は、競合製品の価格と比較した製品やサービスの価格を「バリュープロポジション」と考えるかもしれません。一方、エンジニアは競合他社と比較してどれだけ効率的に生産できるかということが「バリュープロポジション」である、など別の理解を持っているかもしれません。このように特に注意が必要なのは「Value(価値)」「Quality(品質)」「Credibility(信頼性)」など、社内の人によって意味が異なり、広範囲に解釈されて混乱を招くような言葉。代わりに関わる方々がその意味を明確に理解し同意できる言葉を使いましょう。
マーケティング活動とビジネスゴールのコネクティビティの重要性
マーケティング特有の用語の共通理解を深めると経営陣からマーケティング活動への支援を得られる、提案されたマーケティング戦略へのフィードバックをより積極的に行うようになるなどのメリットが期待できます。共通理解を持つことで効果的なマーケティングプランを実践する環境が整います。ビジネス視点におけるゴールは何なのか、そのためにこのマーケティング活動では何ができるのか。言語の曖昧さを取り除くことで実際に追っていくべきKPIとビジネスとの明確なコネクティビティが生まれます。マネジメント層が常に着目しているビジネス視点においてマーケティング活動の結果をレポートすることが、彼らに響くレポーティングの鍵となります。
マーケティング活動の存在意義の示し方
先行指標と遅行指標
マーケティング活動のビジネスへのコネクティビティを示す方法の一つとして挙げられるのが、マーケティング活動のゴールを、先行指標と遅行指標に変換することです。両者を活用してコンバージョンファネルを分析し、先行指標(マーケティングがコントロールするもの)と遅行指標(セールスがコントロールするもの)を追跡することで、ファネルの予測力を示すことができるのです。
ROMI
ビジネス全体の中でコストとして認識されやすいマーケティングですが、ROMI (= Incremental Profit Because of Marketing Spend / Marketing Spending)などの指標を活用して財務上の貢献度を示す必要があります。その際はこれから直面するかもしれないチャレンジや仮定があることや問題点などを明確化して、経営者と同じ立場からマーケティングの効果を立証することが重要です。
マーケットの成長>マーケットシェア
会社の成長への貢献としてマーケティング担当者が主にフォーカスすることといえばマーケットシェアの拡大ですが、それと同じくらい、あるいはそれ以上にマネジメント層が関心を持っているのはマーケットそのものの成長です。戦略を構築する際には、シェア獲得のみならずマーケットを成長させる要素を積極的に組み込むことです。現在のプロダクトの機能やラインナップを拡張して、現市場で新しいプロダクトを提供するという方法もありますし、現在のプロダクトを使ってまったく新しい市場に参入するという方向性も考えられるでしょう。
まとめ
マネジメント層にレポーティングする際は同じ目線でマーケティングの効果を立証するため、共通認識を深めた上でマーケティング部門が貢献できるポイントを明確にすることが重要です。その前提の元、マーケティング活動の存在意義をはっきり示し、更なるビジネスの発展に貢献し続けていきたいものです。