複数のリードスコアをつけることのメリット

最終アップデート: 
January 11, 2023

一般的にリードにスコアを使用している企業では単一のスコアで運用しているところが多いですが、複数のリードスコアを持つことも可能です。複数リードスコアを持つメリットはどこにあるのでしょうか?

参考書籍

「レベニューオペレーション(RevOps)の教科書 部門間のデータ連携を図り収益を最大化する米国発の新常識」のご購入はこちら

MOps101

「マーケティングオペレーション(MOps)の教科書 専門チームでマーケターの生産性を上げる米国発の新常識」のご購入はこちら

リードスコアとは

リードスコアリングはリード(見込み客)の「価値」を判断するための手法で、主にマーケティングチームや営業チームによって使われます。製品やサービスに対する興味・関心や、それに関連する行動に基づいて一定の「価値」をリードに付けていきます。リードの「価値」は組織によって異なりますが、一般的には企業への関心度や購買サイクルによって決定されます。例えばリードのクオリフィケーションにスコア制を採用したり「ホット」「ウォーム」「コールド」というレベル分けを行い、それぞれのやりとりの履歴を元に判断しています。企業の第一の目標は、セールスリードや見込み客をパイプラインに取り込むことですが、相当数のリードを獲得した後は、最も購買意欲の高い見込み客にフォーカスすることが重要であり、そこでリードスコアリングが重要な役割を果たします。

複数リードスコアをもつべきケース

リードマネジメントプロセスを簡素化しワークフローを合理化したい場合は、単一のリードスコアを用いて、1つのファネルによってリードの優先順位を決めることができます、しかし単一のリードスコアでは正しいビジネス成果を導くことができない場合もあります。例えば、異なるセグメント、ファネル、Go-to-market施策、ロケーションなど複数のデータに基づいて意思決定を行う場合には属性スコアと行動スコアを別々に作成する必要があります。

この場合、営業やマーケティングチームが意思決定を行う際には、単なる合計スコアだけではなく、より詳細な粒度でブレイクダウンして活用することが求められます。複数の要素(属性データ、企業統計データ、行動データなど)を組み合わせてスコアを加算したとしても、その背景や詳細な実態を把握することができないため、実際のマーケティングアクションに繋がりにくくなることもあるのです。

シンプルなスコアリングやグレードは、全体像を把握する際のサマリーとしては機能しますが、詳細な実態を見てアクショナブルなスコアにするには個別の適合性および購入可能性のスコアなど、複数のリードスコアを持つことが有効的です。

複数リードスコアを持つ利点

リードスコアが1つしかない場合、営業担当者がIdeal Customer Profile(ICP: 理想の顧客像)に適合しないリードを受け取ることになる可能性が高くなります。

例えば、営業担当者がある一定のリードスコアを超えたためにMQLとなったリードを受け取るとします。しかしこのMQLの定義の裏側には様々な組み合わせがあります。例えば、属性スコアは高いものの行動スコアは低く、行動の内容も購買意思を直接示すものではないものや、属性スコアは低めだが、行動スコアは高く、デモを依頼している、などがあげられます。しかし、属性データから読み取れるビジネスの適合度が低い場合、そのリードに営業が直接アプローチをかける必要がないという可能性もあります。その代わりに、ナーチャリングプログラムで育成したり、セルフサービスの方向に移すなどの対応が取れるでしょう。

このようなミスコミュニケーションを防ぐには複数のリードスコアを持つことが必要になるのです。例えば属性スコアと行動データを分けたり、そこに製品カテゴリーごとの興味関心スコアをたしたりすると、営業はより詳細な情報をもってどのようにコミュニケーションするべきかを明確にすることができます。

マーケティングチームが営業チームに個別のスコアを提供する際には、そのスコアの背後にあるシグナルやコンテキストを含めることが重要です。営業チームがパーソナライズされたコミュニケーションを取る上で欠かせないのが、そのリードがなぜそのようなスコアを持つのか、どのような行動に基づいてスコアリングされたのかを可視化することです。

例えば、B2Bのハイテク企業で営業をしているとします。適合スコアが非常に高いリードは、次のようなシグナルを持っている可能性があります。

https://www.madkudu.com/blog/one-lead-score-to-rule-them-all

この情報により、営業はスコアが高い理由や、リードと自社に関連する理由(関連する職務、テクノロジーの使用など)に関するインサイトを得ることができます。

また、行動情報を追加提供することで、営業担当者は適切なメッセージを発信することができます。以下のシグナルを見ると、このリードがウェビナーに参加登録したり、様々なWebページを閲覧していることがわかります。このコンテキストに基づいて、営業担当者はウェビナーに関連するコンテンツを提供したり、閲覧したページについて質問がないか尋ねたり、同じような課題を持つ別の顧客のサクセスストーリーを共有したりすることができるのです。

複数リードスコアの例

実際に複数リードスコアを持つ場合どんなスコアを設定すべきか見ていきましょう。

属性スコア

役職、業界、会社の収益など、リードに関する明示的なデータを指します。この種の属性データは、見込み客が誰であるか、及び見込み客の適合性を特定するのに役立ちます。

行動スコア

Webサイト訪問や広告プロモーションへの反応などの黙示的なデータです。このタイプのデータは、リードのオンライン行動を把握するのに役立ち、リードがどの程度ビジネスに興味を持っているかを判断することができます。

事業や製品カテゴリー別の行動スコア

事業や製品カテゴリーの幅が広い企業で、単一の行動スコアではなく、事業や製品カテゴリー単位で的確な行動スコアを測りたい場合に有効的です。

また、既存顧客に対するクロスセルアップセルプログラムにも効果的です。

興味関心スコア

サードパーティのインデントデータプロバイダーを使っている場合、特定したトピックに関する興味関心スコアも追加されるでしょう。これによりまだ顕在化していないニーズまで汲み取ったアプローチができるようになります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。リードスコアを閾値にMQL化すると一口に言ってもそのシナリオはたくさんあり、より詳細にリードスコアを設定したい場合は複数リードスコアをもつことが有効的です。ぜひ取り入れてみてください。

Iku Hirosaki
Iku Hirosaki
  |  
廣崎 依久
取締役 兼 COO | Board Member and Chief Operating Officer

大学在学中に株式会社マルケト(現アドビ株式会社)にてマーケティングインターン終了後、渡米。大学院にてマーケティングを学んだ後シリコンバレーに移りEd Techのスタートアップ企業、Couseraにてフィールドマーケティング及びエンタープライズマーケティングオペレーションに従事。その後シンガポールに渡りDSPベンダーのMediaMathにてAPAC地域のフィールドマーケティング及びマーケティングオペレーションを担当。01GROWTHでは教育サービスの開発に加え、国内外のコンサルティング業務を行う。著書に『マーケティングオペレーション(MOps)の教科書 専門チームでマーケターの生産性を上げる米国発の新常識』(MarkeZine BOOKS)がある。