営業強化に欠かせない役割、セールスオペレーション(SalesOps)とは? Part 2
June 12, 2023
前回のブログではSalesOpsの責務をご説明いたしました。
今日はMOpsとの違いや連携方法についてご紹介します。
SalesOpsとMOpsの違い
SalesOpsとMOpsは同じようにテクノロジーやデータ、フォーキャストを取り扱う部門ですが、一体何が異なるのでしょうか。
第一に、所属する組織が異なります。SalesOpsは営業部門で、MOpsはマーケティング部門です。そのため、SalesOPsは営業担当者がパフォーマンスを発揮できる、つまり売上を最大化できるよう、さまざまなオペレーションの改善を行います。例えば、商談のステージを進めるために必要なSFAの運用改善や関連ツールの導入、正確なフォーキャストを行うための分析や受注率を高めるためのトレーニングを行います。
一方で、MOpsはマーケティング担当者の業務効率化や、場合によってはインサイドセールスのパフォーマンス、つまり有効商談の創出を最大化できるようにさまざまなオペレーションの改善を行います。例えば、マーケティングキャンペーンを実施するために必要なMA、CDPの導入や運用改善、キャンペーン実施数を最大化できるようなプランニングツール・プロセスの整備、見込み客の興味関心を引き出すためのコンテンツ制作支援やアクショントリガーの設定などがあります。
重要なデータも若干異なります。SalesOpsは営業1人ひとりが持つデータを定量化したり分析が容易な形にプロセスを変えたり、データを整形したりすることがミッションになることが多いですが、MOpsは見込み客のアクションや属性情報の取得などが中心となります。
SalesOpsとMOpsが連携する方法
先ほど述べたように、SalesOpsチームとMOpsチームは別々の組織です。そのため、ビジネス目標の達成に向けてはそれぞれが部門横断的に活動する必要があります。両チームは、それぞれの部門のパフォーマンスを向上させることを目的としていますが、いずれも顧客の獲得という同じ目標に向かって働いています。ここでは役割が異なる2つのオペレーション部門がどのように協力していけばスムーズに成果につながっていくかを紹介します。
ステップ1:テクノロジーの統合
企業がマーケターや営業活動に多くの異なるツールを使用している場合、リードの情報や 目的がずれてしまうことはよくあることです。データの一元管理ができれば、コミュニケーションのズレを防ぐことができます。そこで重要なのがソフトウェアの統合です。
異なるプラットフォームのデータと情報を統合することで、それぞれのチームが顧客・収益情報にアクセスできるようになります。両チームは顧客との関係を把握することができ、常に同じ目線から話をすることができます。その結果見込み客はシームレスな購買体験を受けることができます。
例えば、マーケティングオートメーションとスケジュール管理ツールやCRMを連携させるとします。見込み客がデモを予約して営業フェーズになった場合、営業チームに自動的に通知され、CRMシステムではすでに新しい商談が作成されているはずです。また、営業担当者は、電話をかける前に、見込み客のオンラインエンゲージメントや企業情報を確認することができます。そのため、会社の規模や役職など、不必要な質問をする必要がありません。その代わりに、現在の問題を深く掘り下げ、製品をソリューションとして位置づけることができるのです。
ステップ2:SLAを利用した共有目標・プロセスの作成
SalesOpsとMOpsの成功のためにはそれぞれ互いの力が必要です。マーケティングが創出したリードは、営業が受注しなければ顧客化しません。一方で、営業が顧客を獲得するためには、マーケティングからの情報提供や検討度合いの高いリードが必要です。しかし、残念ながら、それぞれのチームが提供する具体的な責任と成果物については、多くの企業で整合性がとれていないのが現状です。
営業・マーケテイング間のサービスレベル合意書(SLA)は、各チームの責任について、共通の期待値を設定するためのチーム横断的な文書です。営業・マーケティング間のSLAには、以下の内容が含まれます。
- セールスファネルの各ライフサイクルステージに移行されるべきリードの量と質に関するマーケティングの目標数
- リードのフォローアップまでの時間やアプローチ回数に関するセールスの目標数
- リードクオリフィケーションとライフサイクルステージの定義
- チーム間でのフィードバックとコミュニケーションのためのガイドライン
- チームの文化や価値観の説明
両チームがどのように協力し合うかを文書化しておくことで、認識のズレを減らし、両チームの生産性を向上させることができます。SLAの作成にはぜひ、MOps JapanのSLAテンプレートをご活用ください。
ステップ3:週次のミーティングを行う
SalesOpsチームとMOpsチームの間で定期的にミーティングを行うことで、両部門間の継続的な連携を図れるようにすることを目指します。目標、期待値、戦略、戦術、パフォーマンスについて、合意できるようにします。初期段階の営業・マーケティング連携会議には、CMOや営業担当役員など、各グループの責任者が参加します。その後、この取り組みを進めるために、部門をまたいだ代表者からなるグループを立ち上げます。
週次タスクについて話し合う
週次での定例ミーティングでは、各チームから現在取り組んでいることや未完了のタスクを事前に整理し共有しましょう。時間を有効に使うため、営業とマーケターの双方に影響を与える取り組みに焦点を当てることをおすすめします。
マーケティングチームから議題にあがるのは、以下のようなトピックが考えられます。
- 営業チームが使用するピッチやその他のセールスイネーブルメントコンテンツ
- 顧客事例
- 展開予定のメールマーケティングキャンペーン
- BOFU(Bottom of the funnel)のブログ記事
- 現在実施中の割引やキャンペーン
営業チームに関連するプロジェクトとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 商談を受注するためのマーケティングからのサポート依頼
- マーケティングチームが作成しテストすべき顧客の共通課題や現状の共有
- Web サイトで掲載できるような、優れた顧客事例の紹介
各チームから発表者を指名する
会社の規模によっては、営業担当者がマーケティング担当者全員を知らない場合もありますし、その逆もまた然りです。このような障壁を取り除くには、ミーティングのたびに両チームから新しい人を参加させて発言させるのが効果的です。次のような効果もあります。
- 社員が自分の仕事に主体性を持つようにする
- 新しい声(リーダーシップだけでなく)を聞くことができる。
- 両チーム全体のエンゲージメントを向上させる
まとめ
SalesOpsは営業活動の効率化のために、多くの企業でその重要性が認識されはじめています。その役割はただ営業のサポートを行うだけではなく、日々の業務に追われている営業部門の戦略立案や目標達成に向けた進捗確認と軌道修正、そして業務効率化、メンバートレーニングに至るまで、組織全体のパフォーマンス向上を幅広く担うインテリジェンスな存在です。
テクノロジーやデータを取り扱うという観点ではマーケティング部門に属するMOpsと近しい存在ではありますが、それぞれの役割の違いを理解し、営業マーケティングの連携に向けて相互に協力し合うことができれば、レベニュー部門としての大きな成果を出せるようになるでしょう。