「マーケティングオペレーション(MOps)の教科書」出版記念イベントレポート
May 31, 2023
このたびゼロワングロース株式会社代表取締役 丸井達郎と取締役 廣崎依久は2023年5月15日に翔泳社様より書籍、「マーケティングオペレーション(MOps)の教科書 専門チームでマーケターの生産性を上げる米国発の新常識」を出版いたしました。これを記念して2023年5月16日に出版記念イベントを開催し、90名近くの皆様にお越しいただきました。
当日は書籍のご紹介はもちろんのこと、第8章収録のインタビューでもご協力いただいたMOpsリーダーズの方にパネルディスカッションに参加いただき、マーケティングオペレーションの最新動向を議論しました。このブログでは本イベントの様子をレポートします。
MOpsに特化してサービスを展開してきた背景
日本ではまだまだ認知度の低いマーケティングオペレーション。
ここに特化してこれまでサービスを展開してきた理由を弊社丸井より、ご説明させていただきました。
丸井「弊社では全員が海外もしくは外資系で実際にマーケティングやインサイドセールス、営業の分野で経験を持っているという共通点があります。そんな中で、デジタルマーケティングにおいて日本と大きく異なると実感した部分が戦術設計の部分です。海外の現場では大枠の戦略設計はもちろんですが、それをどんなデータマネジメントプロセスで、どんな人員配置で、どんなチャネル配分で実行に移すのかを定義する、戦術設計の部分に多くの時間や人員を割いています。」
そしてまさに、戦術設計の多くを担当するチームがマーケティングオペレーションだったのです。このマーケティングオペレーションが実現するマーケティングの効率性や生産性の価値を体感した私たちは日本でもこれを広めてマーケターはもちろん、経営層の皆様にもお役に立てるようなサービスをしたいとの気持ちから、これまで主にマーケティングオペレーションモデルの構築支援、人材育成、アドバイザリーサービスなどを中心に行なってまいりました。そして弊社のサービス外にも広くマーケティングオペレーションというものを知っていただきたいということで、株式会社翔泳社様の多大なご支援のもと「マーケティングオペレーション(MOps)の教科書」を出版させていただく運びとなりました。
書籍のご紹介
続いて弊社廣崎より、書籍「「マーケティングオペレーション(MOps)の教科書 専門チームでマーケターの生産性を上げる米国発の新常識」をご紹介させていただきました。本セッションではマーケティングオペレーションのコンセプトを理解するのには必要不可欠な、Big Opsの概要や注目されている理由についてご紹介しました。
Big Opsとは企業全体が数字やデータを取り扱うために適した組織モデルへと移行する動きを指します。色々なタッチポイントがデジタルに移行した今、マーケティングのみならずいろいろな部署で一生懸命顧客のデータを集めてどうにかインサイトを導いてビジネスに繋げようとしています。しかし残念ながら2020年の調査では企業が収集したデータの内、43%は未使用だという数字も出ています。これにはたくさん理由がありますが、その一つにこれだけ膨大なデータを効率的かつ意味のある形で運用するような組織の形になっていないというのが挙げられます。
もともとBig Opsの考え方はDevOpsと呼ばれる開発現場のオペレーションを担う部門から派生しました。開発現場だけでなくマーケティングでもカスタマーサクセスでも、営業でも膨大なデータを取り扱うようになり、テクノロジーの進化と高度化によってそれを効果的に運用するにはある程度の専門知識も必要になってきました。そこで、これらのニーズを果たすためのテクノロジーに長けた専門チーム、〜Opsというチームができていったのです。
私たちはこの中でもMOpsに焦点を当てているわけですが、マーケティングにおいてはテクノロジーの進歩が一段と著しく、Chief martecにとよる2023年度のMarketing Technology Landscapeにはなんと11,038個ものマーケティングツールが並びました。これには会場の皆さんもびっくりした声を上げられておました。
これだけツールがたくさんある中で自社に最適なものを選び、その機能を理解して運用するには専門的な知識が必要不可欠になっています。これまで通りITに任せるのは非現実的になっており、マーケティング部署内に専門知識を有する担当者が必要になってきているのです。
そこで注目されていったのがMOpsです。MOpsはよく「マーケティングとITの架け橋」と呼ばれ、テクノロジーの知識もマーケターのニーズも理解できる人材を指します。デジタルマーケティングを行うには欠かせないマーケティングテクノロジースタックの導入・管理・運用は彼らを中心に行われるのです。
しかし、テクノロジーツールの導入・管理・運用はMOpsの役割の一つにしかすぎません。この他にもツールの運用プロセスやキャンペーン実行プロセスなどを整理し、これらの運用から戦術やベストプラクティスの集約・スケールすること、データマネジメント戦略を整えキャンペーンの効果やマーケティングが収益に与える影響を分析すること、そしてマーケティングチームの教育体制を整えることなどもMOpsの役割なのです。
廣崎「本書ではMOpsとはなんなのか、その基本のコンセプトはもちろんのことMOpsをどんな組織体制で運用するべきなのか、どう自社に最適なテクノロジーツールを選ぶのかなど、実践に直接的につながる内容も入っています。さらに最後の第8章では実際にMOpsを実践されているMOpsリーダーズの皆様のインタビューも収録させていただいておりまして、私たちもたくさん気づきをいただいた内容になっています。」
パネルディスカッション
本イベント最後には、書籍の第8章でインタビューをさせていただいた、以下4名のMOpsリーダーズの皆様にパネルディスカッションにご参加いただきました。
・旭化成株式会社 デジタル共創本部 CXテクノロジー推進センター長 石川 栄一様 (一枚目左)
・Coupa株式会社 シニアマーケティングマネージャー 湯原 良樹様(一枚目中央)
・クリエイティブサーベイ株式会社 取締役副社長 石野 真吾様(一枚目右)
・株式会社マクニカ コーポレートマーケティング統括部長 堀野 史郎様(二枚目)
このパネルディスカッションでは弊社丸井がモデレーターを務め、MOpsを実行する上で欠かせない組織体制、そして人材という2つのトピックでディスカッションを行いました。
どのような組織体制でMOpsを運用するべきかというトピックでは、株式会社Coupaの湯原様より「外資系企業の多くではMOpsチームが本社に集約されています。リージョンごとに最適なオペレーションの形を構築することが鍵です。」と外資系企業特有の環境でMOpsを運用されているご経験をもとにお話いただきました。また、株式会社マクニカの堀野様は日本を中心として海外拠点も管理するMOpsの体制を整える上でガバナンスの形に考慮されたお話をいただきました。業種業態や企業規模、事業フェーズによって適切なガバナンス体制は変わる、と皆さん同意されていました。
また、 MOpsという新しい分野でどう人材を育成・採用・コンバートしていくのか、というトピックでは人材育成の重要性を皆さん強調されていました。旭化成株式会社の石川様は全従業員を対象としたDXオープンバッジ制度においてデジタルマーケティングスキルの習得を推進されている旨をお話しいただき、クリエイティブサーベイ株式会社の石野様はスタートアップという環境では専門性を持った人を1人育てるのではなくマーケティングチーム全体にある一定のテクノロジー知識を持たせることが重要だとご意見をいただきました。
お礼
出版記念イベントにはお客様やパートナー様、元同僚の皆さん、その他多くの方にご参加いただきました。お忙しい中ご来場いただき、誠にありがとうございました。
また、イベントの開始にあたり、私たちが長年お世話になっているCoupa株式会社 取締役社長 小関貴志様より乾杯の挨拶をいただきました。
小関様、お誕生日、そして大阪出張帰りであるにもかかわらず駆けつけていただきまして誠にありがとうございました。
本書籍の編集を担当いただきました株式会社翔泳社 書籍編集部第六課の大久保遥様からも、本書出版の経緯についてお言葉をいただきました。
マーケティングオペレーションというコンセプトがまだ広まっていない中での本書の出版ということで読者の皆様に理解していただきやすいような工夫や、きめ細やかな編集をたくさんしていただきました。誠にありがとうございました。
最後に、今回の出版イベントの運営をお手伝いいただきました株式会社KAMA-CROWDの忽那様・今村様、誠にありがとうございました。