お話を伺った方々
* 部署及びお役職は取材時時点のものです。
2011年の創業以来、デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)という分野を開拓し市場を牽引してきたWalkMe株式会社は、企業がデジタルツールを導入・活用する際の様々な障壁を取り除き、従業員や顧客がソフトウェアを効率的に利用できるよう支援しています。本社をイスラエルとアメリカにもつ同社では、2019年に日本法人を立ち上げ、日本企業のDX推進を多方面から支援してきました。一方デジタルを活用したマーケティング活動やその効果の可視化などにおいて課題を感じ、ゼロワングロースとともにマーケティング基盤の再構築を行いました。本記事ではその取り組みを実施した背景やもたらされた効果や変化について振り返ります。
(小野様)当社では以前よりマーケティングを行っていましたが、イベントに出展してリードを大量に集め、BDRへパスして商談化を目指すという活動が中心で、持続的な成長に繋がらないことが大きな課題でした。フロー型施策が中心で、デジタルツールを活用したリードのナーチャリングやタッチポイントが少なかったため、マーケティング活動の効果を実感できない状態が続いていました。また、デジタルマーケティングの基盤となるマーケティングオートメーションやウェブサイトをグローバルと切り分けて使っていましたが、限られたマーケティング予算の中でこれらのメンテナンスや適切な管理・運用が難しく、マーケティングプロセスの様々なところでズレが生じてしまったこともマーケティング効果の可視化ができない大きな原因となっていました。結果的にせっかく獲得したリードもフォローされないまま放置されてしまったり、マーケティング以後のBDRの活動へ悪影響が出てしまうなど、全体的にマーケティングにおけるデジタルの活用に課題を感じていました。また、当社のマーケティングチームのほとんどはイスラエルとアメリカに集約されていますが、どの部分をグローバルに任せ、日本でイニシアティブをとるべきかの整理がされていないところも問題でした。これらを打開すべく、まずはデジタルを最大限活用できるマーケティング基盤を再構築すること、そしてそれをもとにインバウンドの強化やウェブ周りの強化を行い、マーケティングが収益にもたらす効果を最大化することを目標として取り組むことを決めました。
(金本様)マーケティング基盤の見直しについては大きく2つのプロジェクトに分けて取り組みました。一つはデジタルタッチポイントが取れなかった大きな理由でもあるマーケティングオートメーション周りの見直し、そしてそれに伴うレベニュープロセスの整理です。当社ではHQのマーケティングオペレーションチームが集中管理でマーケティングテクノロジーの管理や設定を行っていますが、日本では独自の運用をしていたためにこの恩恵を受けることができず、メールを送るのも容易ではありませんでした。そこでグローバルと同じ運用方法へ移行し、オン・オフラインの行動データと属性データを元にしたリードスコアリングや興味関心度合いに応じたナーチャリングシークエンスの設定、そしてレベニュープロセスの再整理を行いました。
私の入社後、自社チャネルでリードをとっていけるようにコンテンツ拡充も同時に取り組んでいたこともあり、相乗効果となってマーケティング起点のデジタルタッチポイントが格段に増えました。また、同時にレベニュープロセスにおける中間指標の定義やBDRへのハンドオフプロセスを整理したことで、プロセス間のコンバージョン率も取れるようになり、これまでは不明瞭だったマーケティング効果を可視化できるようになりました。
(真田様)二つ目は、デジタルマーケティングの根幹となるウェブサイトの見直しです。日本ではウェブサイトを独自に運用していましたが、その管理にかかるコストとリソース、セキュリティ対策、グローバルとのメッセージングのズレなど様々なチャレンジを抱えていました。また、SEO対策も十分にできていなかったため、トラフィックが伸び悩んでいたり、本来なら使えるはずのマーケティングテクノロジーツールもアクセスができないような状況でした。
そこでデジタルを強化する上で欠かせないウェブサイトを強固にするためにも、グローバルウェブサイトへの移行を決めました。その移行過程の中では、日本の独自性を残すべきところ、そしてグローバルに合わせるべきところを明確にしながら進めていきました。移行後は全体的なウェブコンテンツのアップデートはもちろんのこと、ウェブエンゲージメントを高めるための各種ツールへアクセスできるようになったり、BDRの働きかけに参考になる訪問者データを使えるようにもなりました。回遊性やウェブコンバージョン率を上げるための働きかけも始めたので、これからのパフォーマンスが楽しみです。
(小野様)元々ゼロワングロースの丸井さんと知り合いだったこともあり、執筆された本などがきっかけで話を聞くことを決め、廣崎さんを中心に進めていただくことになりました。今回の取り組みの成功理由としては、マーケティング領域における確かな知識はもちろんですが、グローバルと円滑にコミュニケーションをして独自性と協調性のバランスを取っていただいたこと、そしてグローバルにおける日本市場への理解を高めてくれたことが挙げられると思います。グローバル企業の課題を理解し、バランスをとりながら成果を出せるのは01GROWTHならではの強みだと思います。
(金本様)基盤の再構築の部分では、どちらのプロジェクトにおいても廣崎さんが一人称で進めていただいたのも大変助かりました。外部リソースを活用する際は管理するFTE側にハンドリング工数がかかることがありますが、主体的に動きFTEと変わらないパフォーマンスを出していただいたため、私はその他のことに集中することができました。また、私の前任者との入れ替わりのギャップをうまく埋めて、接着剤の役割をしてもらったことも大きなバリューでした。
(金本様)約1年の間に、デジタルマーケティングを体系的に行うマーケティング基盤が揃ったと感じています。これからのフェーズはこの基盤のもと、具体的な打ち手を打っていくこと、そして施策の効果を最大化することに注力したいです。再構築されたマーケティング基盤は、デジタルツールの活用を最大化するためのものであり、これからの活動がマーケティングの成果を大きく左右することになると考えています。私はマーケティングの使命は最終的にセリング活動をなくすことだと思っています。強力なマーケティング活動を通じて、営業部門がセールス活動を行わなくても、顧客が自然と興味を持ち、購買を検討する段階まで進む理想的な状態に近づけたいと考えています。
(小野様)今回立て直していただいた基盤の上で、インバウンドから問い合わせを増やせるように強化していきたいです。ウェブサイトやコンテンツマーケティング、SEOなどの施策を駆使して、顧客が自発的に問い合わせをしてくるような仕組みを構築していくことが重要です。こうした施策を展開することで、マーケティングの効率化と効果の最大化を追求し、収益への貢献度を一層高めることに注力していきます。また、グローバルのリソースと日本のニーズを融合させ、日本市場特有の戦略も柔軟に展開し、より効果的なマーケティング施策を行うことで、国内でのさらなる市場拡大を実現し競争優位性を高めていきたいです。