グロービス
インサイドセールス組織のオペレーションを再構築し生産性高い組織運営を実現

左より、野村 美奈氏、奈良 彰子氏、瀧口 奈歩氏
インタビューにご協力いただいた方々
グロービス
BtoB マーケティング
テクノロジー・ディレクター
- 奈良 彰子氏
インサイドセールス マネジャー
- 瀧口 奈歩氏
シニア・デジタルマーケター
- 野村 美奈氏
※部署・役職は取材日時点
グロービスは、ビジネスリーダーの育成を目的に、経営大学院(MBA)運営、企業向け研修、ベンチャー投資、動画学習サービス「GLOBIS 学び放題」などを展開しています。実践的な知識とスキルの提供を通じて、個人と企業の成長を支援し、イノベーションを推進するリーディングカンパニーです。この記事では、BtoBマーケティング部門が取り組んだ、インサイドセールス活動のオペレーション改善に向けたゼロワングロースとのアドバイザリーセッションを振り返り、その成果をご紹介します。
本プロジェクトでのお取り組みの背景

奈良様:今回の取り組みに至った背景としては、チームの立ち上げ当初に構築した仕組みの抜本的な見直しをしたいというものでした。これまでも試行錯誤を重ねながら改善を続けてきましたが、いくつかの課題を感じていました。
例えば、現在使用しているツールを十分に活用できていないこと、また、独自のプロセスが新人のオンボーディングを難しくしていたのですが、日々の課題解決に追われる中で、仕組みの本質的な改善には至っていませんでした。そこで、よりシンプルかつ成果を生み出しやすい体制を実現するため、標準化すべき領域を整理しつつ、自社独自の強みを活かせる仕組みへの移行が必要だと考えました。
インサイドセールスのプロセス再構築の背景
奈良様:今回のプロジェクトの背景には、インサイドセールス組織の成長に対して、仕組みが追いついていないという課題がありました。規模の拡大に伴い、情報管理やオペレーションの複雑化が進み、これまでのような運用が難しくなっていくことが想定されました。さらに、他社事例や最新情報を調査した結果、同様の設計で運営しているケースはほとんどなく、現行の仕組みでは将来的なスケールに対応できない可能性が浮き彫りになりました。こうした状況を踏まえ、組織の成長に適応できる標準化と仕組みの再構築が不可欠であると判断し、今回の改善に着手しました。
瀧口様:現行のオペレーションの複雑さは、インサイドセールス組織を拡充していくうえで課題になり得ると感じていました。当初は3名体制の組織でしたが、創設から4年が経ち、次年度には9名体制への拡充を見込んでいます。メンバー特性の多様化が進むなか、同質性の高い少数精鋭を前提に設計された既存の仕組みは、わかり易いオペレーションになっておらず、組織の成長にそぐわなくなるだろうと考えました。具体的には、CRMでの対応プロセスが細分化されていることから、各工程において複雑なステイタス更新が求められ、業務負荷やミスの発生リスクが増大することが想定できました。こうした課題意識を踏まえ、拡大する組織に適応できる仕組みへと見直しを進める必要がありました。
今回の取り組みで01GROWTHを選んだ理由

野村様:オペレーションに改善の余地を感じており、実現に向けて知恵を求める中で、『MOpsの教科書』の勉強会に参加をさせていただき、そこがゼロワングロースとの出会いでした。勉強会を通じて、目の前の課題だけではなく、マーケティングオペレーションを体系的に見直す重要性に気づかせていただきました。その後、別の機会で勉強会で講師をされていた丸井さんからセッション受ける機会があり、課題の本質を捉えた的確なアドバイスと実践的な知見に触れる中で、今の課題を解決するにあたり、専門性を持つ外部パートナーのサポートを受けながらより理想的なオペレーション構築をしていこうと思い、ゼロワングロースに相談しながら組織の成長に適した仕組みを構築していくことを決めました。
オペレーションを再構築している中での気付き

瀧口様:わたしがBtoBマーケティング部門に異動したのは、初期の仕組みが構築された後でした。そのため、当時のオペレーションを疑うことなく運用していましたが、ゼロワングロースから標準的なオペレーションモデルを学ぶ中で、自社で「当たり前」と思っていた運用が実は一般的ではないことに気づきました。また、ゼロワングロースから「在るべき姿」を提示されたことは、「自分の会社は特殊だから」と理由をつけて片付けがちな課題との向き合い方を再考するきっかけとなりました。川上さんの伴走のもと、まずは業界全体のオペレーションモデルの在り方を意識し、そのうえで自社の現行の仕組みがなぜ存在しているのかを考えました。何は理想へ近づけ、何は独自の方法論を継続すべきなのか、それぞれを判断するために必要な思考プロセスを知る機会となりました。
野村様:フィールドマーケターの視点から見ると、マーケティング活動を推進していくためには、インサイドセールスが活動に集中できる時間を十分に確保できることが、とても重要になっていきます。インサイドセールスの業務の効率が低下すると、リードへの対応の遅れや漏れが発生するリスクが高まります。また、リードのパスに対して、生産性の高い対応が叶わなかった場合、部門で目指している全体のKPI達成が困難になります。そのため、インサイドセールスが高い生産性を維持し、効率的に活動できる仕組みを整えることは極めて重要です。
奈良様:理想の状態を考えることについては、その影響範囲の大きさから当初は難しさを感じていました。しかし、プロジェクトを進める中で課題がより明確になり、理想と現状、そして投入可能な工数を鑑み、具体的なマイルストーンを設定できたことは非常に有益でした。また、今回はオペレーション構築段階からメンバーが積極的に関与する形をとりました。プロセス設計の段階から参加してもらうことで、取り組みの背景やなぜその仕組みになっているのか等の戦略的な意図が浸透し、組織全体の強さが増したと感じています。また、標準的なオペレーションモデルを整理することで、どこに自社独自の付加価値を発揮できるのかが明確になった点は大きな成果のひとつでした。
インサイドセールスのプロセスの進化と今後のロードマップ
瀧口様:今回の改定を通じて、標準的なツールの活用が進み、オペレーションの最適化や、インサイドセールスのベストプラクティスの導入を容易に進められる基盤ができました。例えば、Salesforceの活用に関する勉強会に参加する際にも、吸収できる情報が増え、より実践的な学びを得られるようになるだろうと感じています。また、生産性向上の一貫として、現在、通話解析ツールの導入検討を進めています。このツールには、アクション時間の短縮、コールのベストプラクティスのナレッジ共有、定量的な数値の取得が可能など、さまざまな効果を期待しています。今回ゼロワングロースの支援により、ツール活用や生産性向上に向けた基盤を整えることができました。今後はこの基盤を活かし、オペレーションの進化を更に加速させるとともに、人員拡充にも耐えうる強固な体制を構築していきたいと考えています。
今後のチームの展望

野村様:今回のプロジェクトを通じて、オペレーションモデルの改善が施策の生産性向上につながることへの大きな期待を持つことができました。これまでマーケティングにおけるオペレーションを独自に進めていたため、目の前の課題に対して場当たり的な改善を重ねることが多くありました。しかし、今回の取組みを通じて、オペレーションモデルを根本から見直すことで、マーケティング施策全体の最適化につながること実感することができました。今後もこの視点を意識し、施策とオペレーションモデル双方の高度化を進めていきたいと考えています。
奈良様:組織の成長にあたり、今後の鍵となるのは、プロダクトマーケティングの強化とカスタマーサクセスとの連携と考えています。マーケティング、営業、それぞれの部門が共通の指標と基盤を持つことで、一貫した成果を生み出せるよう、プロダクトマーケティングの強化と、それを支えるオペレーション基盤の整備に注力していきたいと考えています。