今回はMarketo Engageの収益サイクルモデル(売上高モデル)の設計について解説していきたいと思います。マーケティングプロセス全体をトラッキングしマルチタッチポイントの効果分析をするマルケトエンゲージのパワフルなレポーティング機能です。
Marketo Engage(マルケト エンゲージ)の収益サイクルモデル(売上高モデル)はMarketo Engageのトラッキング機能、レポーティングを活用する上で最も重要な機能であることを前回のポストでご紹介いたしました。今回はその収益サイクルモデルを活用する為の設計について解説したいと思います。
まずマーケターとしてレベニューモデル全体の中で下記のような事を把握をしておかなければいけません。
これらは把握する事が極めて重要な指標ですが、それをトラッキングするのはかなり手間のかかる作業です。これらのレベニュープロセス内のリードをトラッキングし集計してくれるのが、収益サイクルモデルの役割です。このデータがしっかりとトラッキングできていれば、マーケティングキャンペーンのデータやリード属性のデータを組み合わせることでより多角的な視点でマーケティング効果の測定を行うことができるようになります。例えば、オンライン広告のキャンペーンがどの程度新規リード獲得に貢献し、MQL、商談、受注へ何%コンバージョンし、ROIがどの程度?という事を把握することはもちろんですし、メールキャンペーンがMQLから商談へのコンバージョン率向上にどのように寄与したのか。こういった事まで把握することができるようになります。
サクセスパスと迂回路
収益サイクルモデルにはサクセスパス(成功パス)、迂回路があります。サクセスパスはリードが成約に至るまでの最適なパスを示し、迂回路に不適格、リサイクル、失注などの最適なパスから離れて滞留しているリードを示します。
ステージのマッピング
収益サイクルモデルにはサクセスパス(成功パス)、迂回路、デッドエンドがあります。サクセスパスはリードが成約に至るまでの最適なパスを示し、迂回路にリサイクルなどの最適なパスから離れて滞留しているリードを示します。デッドエンドは不適格リードや失注など、行き止まりでその先に繋がるパスがない状態、即ち終了を意味します。成功パスと迂回路、またはデッドエンドに、自社のリードから売上に至るまでのプロセスステージをマッピングしていきます。下図を参考にすると、成功パスは緑色のマーカーが引かれている部分で、Recyclingは迂回路、DisqualifiedとLostはデッドエンドです。
各ステージの要件を定義する
各ステージはマッピングするだけでなく、その要件を定義する必要があります。例えばMQLというステージがあるのであれば、どのような要件を満たすリードがMQLというステージに該当するのかを明確に定義します。
例:MQL=リードスコアが100点以上
各ステージに必要なアクションを決定する
続いて各ステージにおいて必要なアクションを決定します。スコアが100点以上となったリードをMQLとし、そのMQLに対して、いつまでに誰がどのようなアクションを行うかを決定します。
例:MQLに対してのアクション
このようなアクションを明確にします。このように期限の決まったタスクが作成される場合は、SLA(サービスレベルアグリーメント)ステージを使用します。このSLAステージを活用すると、期限を過ぎたステージのリードの人数を把握する事ができるようになります。例えば、SLAの超過が多い場合は、インサイドセールスの人員不足の可能性もありますし、MQLの定義が甘く、大量のリードが流れ込んでいる可能性も考えられます。まさに生産現場のプロセスマネジメントのように、ボトルネックを発見し、そこを調整していく作業を行います。
これらの数値を可視化してくれるのが、サクセスパスアナライザーです。ステージを通過するリードの人数、コンバージョン率、経過時間などを集計し、その流れ、ボトルネックを可視化してくれるレポートです。このレポートは、その名の通りサクセスパスにのみ焦点を当てています。要は迂回路やデッドエンドはこのレポートには反映されませんので、そのこのことを念頭に置いて、モデルの各ステージを構築してください。
サクセスパスの各ステージに含まれるデータは以下の通りです。
これらの各データを確認しながら、全体のプロセス内でのボトルネックの発見やSLAの滞留などを確認することができます。下図ですと、オレンジ色のラインがSLAの滞留を示しており、大きな滞留は起こっておらず、適正なMQLの定義、インサイドセールスの配置がおこなれている事がわかります。
期間別での比較なども行えますので、以前と比べてコンバージョン率がよくなったステージなどを発見することも可能です。
レベニューエクスプローラー(売上高エクスプローラー)を活用することで、よりドリルダウンしたデータの分析を行う事もできます。これらはほんの一例ですが、収益サイクルモデルのデータとプログラムやリードデータを組み合わせて様々な分析が可能です。
各ステージ遷移のリードタイム
リードソース別の商談へのコンバージョンとリードタイム
いかがでしたでしょう。マルケト エンゲージはマーケティングプロセス全体をトラッキングしマルチタッチポイントの効果分析をするために強力なツールですが、そのレポートの機能を十分に活用するためには、この収益サイクルモデルの構築が必要です。自社の収益モデルをしっかりと定義し、様々なルールや営業チームとの合意があり始めてマーケティングオートメーションはその効果を発揮します。また定期的にマルケトの機能についてご説明をしていきたいと思います。