Employee advocacyとは社員が会社のプロモーション活動をすることを指します。その役割は多方面に渡っており、例えば商品やサービスを社員自らおすすめすることもあれば、企業そのものや文化を発信する場合もあります。
Employee advocacy プログラムとは
Employee advocacyとは社員が会社のプロモーション活動をすることを指します。その役割は多方面に渡っており、例えば商品やサービスを社員自らおすすめすることもあれば、企業そのものや社内カルチャーを発信する場合もあります。前者の場合は企業インフルエンサーのようなポジションでブランドイメージを向上させる役割となり、後者の場合はリクルート活動の一環として候補者に企業イメージを伝える役割となります。Employee advocacyプログラムは従業員の人件費を外して考えれば、基本的に無料で実施可能のためすぐに取り入れることができます。
しかし、現状80%以上の会社がEmployee Advocacyプログラムを実施しておらず、その主な理由はEmployee advocacyプログラム実施の枠組みやフローの作り方や管理方法がわからない、社員の参加意欲を掻き立てることが難しい、マネジメントのサポートや賛同が得られない、というものです。今日のブログでは世界の成功事例や実際にEmployee Advocacyプログラムを立ち上げるステップをご紹介します。自社への導入へのヒントとしてみてはいかがでしょうか。
Employee advocacyの例
Starbucks
社員のモチベーション管理に成功した代表的な事例としてご紹介したいのが Starbucks社のEmployee advocacyプログラムです。同社は従業員のエンゲージメントを高めることがStarbucksブランドそのものを強くすると認識し、スタッフの教育に積極的に投資を行っています。社員のモチベーションを高め、それぞれをブランドアンバサダーとするべく、トレーニングを実施しソーシャル投稿用の公式ガイドラインも提供しています。それにより、世界中の社員が商品や社内カルチャーを彼ら自身のコミュニティに対してポジティブに発信するサイクルが実現しています。さらにStarbucksは「社員パートナーアカウント」を作成し、社員が会社に関する写真、ストーリー、ディスカッションなどを投稿できるようにしています。そのアカウントは2021年10月時点でFacebookページで38万人以上、Instagramページで13万9000人のフォロワーという規模へと成長しています。
採用活動に大きな利益をもたらしたEmployee Advocacyの例として代表的なのがGoogleです。Googleが最も注力しているのは優秀な人材をチームに集めること。そこで大きな役割を担っているのが求職者向けのEmployee Advocacyです。Googleには、自らコンテンツを作成して共有することに長けている社員が多く、社員制作のコンテンツがGoogleの@lifeatgoogleページ(社員のストーリーや仕事の経験をシェアするためのInstagramのページ)に掲載されます。社員自ら作成したコンテンツは求職者にとって最も信頼性が高く魅力的であり、この活動により優秀な人材がGoogleチームに集まる良いサイクルを作り出しています。
Employee advocacyプログラムの始め方
まずは大前提として現在の会社、ブランド、商品・サービスが社員自ら積極的に発信したいと思えるものであるかを確認の上、実際の導入に入っていきましょう。
1) ゴールの設定
初期段階にて、ビジネスゴールとしっかり結びついたEmployee Advocacyプログラムのゴールを設定します。そうすることにより使用すべきプラットフォームや個々が取るべきアクションも明確になり、パフォーマンス向上が期待できます。キャンペーン投稿が始まったら、必要な指標をトラッキングし、効率よくPDCAを回すことを意識します。以下5つの指標は把握しておくべき重要な数値の一例です。
2) リーダーの決定、育成
経営幹部などのトップマネジメントはEmployee Advocacyに適した人材とは言えません。会社やブランドに対してロイヤリティがあることは大前提ですが、普段からソーシャルメディアを利用しており、一般に受け入れられる人をリーダーとして起用することを検討しましょう。リーダーの役割はキャンペーンや目標をメンバーに伝達し、適切なインセンティブプログラムを構築しメンバーのモチベーションアップを積極的に行うこと。また、社員が主に利用するツールや情報源を理解しプログラム全体の見直し、改善をしていくことも求められます。そういったスキルを持ったリーダーを起用すること、あるいは育てていくことで、プロジェクトを一過性のもので終わらせず継続してPDCAをまわしていくことが可能になります。
3) ソーシャルメディアガイドラインの作成
ガイドラインは、コンテンツを作るための参考になるだけでなく、企業の評判を守り法的トラブルやセキュリティリスクを回避するのにも役立ちます。ガイドラインには「使用を避けるべき不適切なワードリスト」などに加え、法務部が責任を持つべき専門的な領域も含まれます。また、ガイドラインを社員と協力しながら作るのも良いでしょう。社員自身がプログラム実施の初期段階からガイドラインのような根幹部分に関わりを持つことで理解が深まり、貢献意欲も高まります。誰もが理解しやすくシンプルであることもガイドラインの重要な要素です。
4) 社員との協力体制を作る
会社のプロモーションを強制することは、社員からの信頼を失う要因となり積極的な参加、貢献が望めなくなるので極力控えるべきです。意欲が低いためにコンテンツの質が下がってしまうという意味でもお勧めできません。社員の参加意欲を掻き立て、彼ら自ら参加して貰えるような仕組みを作ることを心がけましょう。インセンティブ制度を整えるだけでなく、全社ミーティングや社内イントラなどで優秀なコンテンツや貢献したチームをメンションするなど、評価を見える化することも有効です。
5) シェアしたいと思わせる企業コンテンツの作成
シェアする際のテンプレートなど、情報発信に必要なツールやリソースを提供することが重要です。彼らに発信してほしい情報が魅力的であればあるほど積極的な協力が期待できます。ただしやる気を害わないためにもルールはガイドラインに全てまとめることをおすすめします。コンテンツは定期的に更新し、一定ボリュームで情報発信を行うサイクルを作っていきましょう。楽しく魅力的なコンテンツ、シェアしやすいコンテンツ、業界のトレンドなど様々に織り交ぜてアップデートを行い、その中からパフォーマンスの良いカテゴリを探っていきましょう。
6) わかりやすい「やりがい」を作る
多くの場合Employee Advocacyにメディア費用などはかかりませんが、それが社員の協力の元に成り立っているということは忘れてはいけません。協力を仰ぐ以上、彼らへの何らかのリターンを用意しておくべきでしょう。ギフトカードやボーナスなどわかりやすいインセンティブはやはり効果的です。効果をさらに高めるためにもプログラムにゲーム性を持たせ、個人やチームで互いに競い合う形式を取ることもおすすめです。例えば、キャンペーンハッシュタグを設定しそのハッシュタグのインプレッション数やエンゲージメント数が多い人やチームをダッシュボードなどツールを使って可視化する、その上でトップパフォーマンスのチームや個人には賞品を提供することで、プログラムへのやりがいが生まれ、更なる積極的なアプローチに繋がっていきます。
いかがでしょうか。 Employee Advocacyプログラムはコストをかけず、すぐに展開できる上、従業員が発信する情報は会社として発信するよりも親近感や信用性が高まります。是非導入の検討をしてみてください。