昨今AIの自然言語生成の質は大幅に改善され、米国では本格的なAIコンテンツライティングツールの活用が始まっています。このブログではAIコンテンツライティングツールの概要と、実際に触ってみた感想をご紹介します。
先日、Linkedinでマーケターの知り合いがAIコンテンツライターを使い始め、ブログやソーシャルメディア投稿のコピーなどにかける時間が大幅に減った、とポストしていたのを見ました。コンテンツマーケティングのエリアでAIを使ったサービスは多々あります。オーディエンスが興味のありそうなトピックをレコメンドしたり、SEOで重要なキーワードを把握し、自社のコンテンツを改善するサービスなど、その活用は様々です。しかし、本格的にAIをコンテンツライターがわりにしている例はまだ珍しいのではないでしょうか?さらに、調べてみると日本語対応可能なものもあるとのこと。個人的にカスタマーサービスのBotでイライラした経験や、機械翻訳の意味が通じない日本語訳には悩まされてきましたから、まだまだAIがブログ記事などを書いても不自然で定型文のようになるのではないか?と懐疑的でしたが、昨年のGPT-3発表以来、そのクオリティが大きく改善され米国ではAIコンテンツライティングサービスの活用が始まっているそうです。このブログではAIコンテンツライターサービスの概要と、実際に触ってみた感想をご紹介したいと思います。
AIコンテンツライターを可能にするGPT-3とは
そもそもAIが言語処理を行う際にはGPT(Generative Pre-trained Tranformer)という言語モデルを使用しています。GPTは膨大な量のテキストを処理し、人が自然に書いたり話したりするように前の言葉に続く言葉を予測していくことで文章を完成させるテクノロジーで、そのほかにも様々な活用がされています。Elon Muskなどのテック界のスター達が設立したOpenAIという非営利団体は圧倒的なスピードで開発を進めており、2020年6月には従来よりも何倍も精密な自然言語処理および自然言語生成の最新版、GPT-3を発表し大きなニュースになりました。そして、昨今このGPT-3モデルを使用したコンテンツジェネレーターサービスが多々出てきており、代表的なものでJarvisやCopyAIなどがあります。現在米国などでは多くのマーケターや起業家などが注目しているツールで、その活用も幅が広いです。すでにこれを使った本もすでに出版されているとのこと。気になるところですが、今日はマーケティングでの活用にフォーカスしてお伝えしたいと思います。
コンテンツマーケティングにおけるAIの活用
JarvisやCopyAIなどのマーケティングコンテンツをAIで自動生成するサービスは広告コピーやブログ記事、Youtubeビデオの概要欄、Amazonの製品概要欄などの様々なテンプレートから作成したいものを選び、タイトルやキーワード、概要などを入力すれば自動的にAIが文章を書いてくれるようになっています。似たサービスは様々ありますが、他言語対応可能で日本語もOKとなると数は限られます。Jarvisは日本語を含む20+言語に対応しており、複数言語間での翻訳も可能です。例えば日本語で書いたコピーを英語で出力したり、その逆もできるのです。また、文章のトーンもカジュアルからフォーマルまで選ぶことができるため、様々なシーンで活用することができます。Jarvisは先月末に大規模な製品アップデートをしているため、新機能についても触れたいと思います。
実際に触ってみた!
今回はシンプルにブログのイントロパラグラフを、以下4パターンでAIに書いてもらおうと思います。ブログタイトルは全て「コンテンツマーケティングにおけるAIの活用」と設定し日英で相違がないようにしました。
タイトルを”Using AI in content marketing”、オーディエンス対象を”content marketer”、トーンをフォーマルに設定し、イントロパラグラフを書いてもらった結果がこちらです。この文章が出力されるまでは5秒程度でしょうか。文法的にも内容的にも問題ありません。
タイトル、オーディエンス対象、トーンは全て同じで設定しました。出力だけを日本語に変えています。「ます」が〼に変換されてしまっているのが気になりますが、その他問題点はなさそうです。
日本語インプットではタイトルを”コンテンツマーケティングにおけるAIの活用”、オーディエンス対象をコンテンツマーケター、トーンを同じくフォーマルに設定しました。こちらも自然でAIが書いたとは言われないとわからないでしょう。
インプット内容は上と同じで出力だけ日本語に変えています。ここでも文字化けがいくつかありますが、その他は問題ないでしょう。
新機能
このように基本情報だけを入力する使い方はとてもベーシックです。今回はご紹介目的のため簡単にイントロパラグラフと設定しましたが、本も書けるほどですからもちろん長文コンテンツも作成可能です。また、出力された文章が気に入らなければ何度でも書き直させることもできます。
先日発表された新機能では、Jarvisにコマンドを出せるようになりました。AIを一人のチームメンバーと捉え、Jarvisをマネージするという発想からBoss Modeと命名されたようです。例えば、イントロパラグラフの後に” Expand the intro paragraph”とコマンドすると、それより以前の文章をもとに続きの文を書いてくれたり、”Summarize the above”とコマンドすると文章のまとめを書いてくれたり、さらには”Rewrite the above in XXX framework”とコマンドすれば、AIDAやPSAフォーマットなどに書き換えることもできるのです。まさに、もう一人の脳みそをつっつく感覚でコンテンツの執筆ができます。また、このコマンドはインプット言語を日本語設定すれば日本語でコマンドすることもできます。コマンドを駆使すれば大幅にコンテンツ執筆の時間が削減できるでしょう。詳しく気になる方は、Youtubeなどにレビュービデオなどものっていますのでご参考にしてみてください。
触ってみた感想
日本語のアウトプットに関しては文字化けなど改善する点もありますが、英文はAIが書いたとは言われないと全くわかりません。欧米で話題になっているのも納得のクオリティでした。また念の為リファレンスチェックも行いましたが、オリジナルの文章のようです。(引用文を引っ張ってくることもあるようですが、その際にはレファレンスが明記されるとのこと)ウェブサイトのコンテンツを増やしたいけどリソースが足りない方や、コンテンツ作成の時間を短縮したい方、海外のオーディエンスに向けたコンテンツを作りたいけど翻訳が大変…という方にも役立つツールだと思います。
これはもちろんコンテンツライターの仕事を100%とってかえるものではありませんが、スランプに陥った際に少し手助けしてもらったり、AIにお任せしてレビューや足りないところを足したりという補足的なタスクだけでコンテンツ作成を完成できれば相当の仕事量と時間をカットできるでしょう。専門的な説明をしたいときには難しそうですがソーシャルメディアのコピーはもちろん、ブログでしたら今すぐにでも使い始められるレベルではないでしょうか。コンテンツ執筆や編集、翻訳は時間がかかるものですから、効率化を図れることは間違いなさそうです。
このように実用的なAIツールがあれば今後日本でAIがライティングタスクを担当する日も近いでしょう。ますます私たちマーケターの役割やこれから必要とされるスキルについて考えさせられます。