Marketo Engage(マルケト エンゲージ)のチャネルの活用について Part1

最終アップデート: 
January 26, 2023

マルケト エンゲージのコンサルタントをしていた頃に最も問い合わせが多くて、多くのユーザー様が使えていなかった機能としてプログラムチャネルとタグの機能があります。今回はチャネルの活用について、次回以降はタグやその他の機能についてもご紹介します。

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マルケト エンゲージのコンサルタントをしていた頃に最も問い合わせが多くて、多くのユーザー様が使えていなかった機能として、プログラムチャネルとタグの機能があります。今回はチャネルの活用について解説していきますが、次回以降はタグやその他の機能についてもご紹介していきたいと思います。

マルケト エンゲージの多くの機能はマーケティング戦略・戦術に紐づく形で設計されており、この設計ができていないと活用するのが難しいとなる機能がたくさんあります。言い換えると、マルケト自体がマーケティングの戦略や戦術の設計で必要な検討事項を示唆してくれます。もしチャネルの活用方法がわからないという方がいらっしゃれば、本記事を参考に自身のマーケティング戦略・戦術の再設計から始めることをお勧めします。


チャネル、チャネルのステータスの機能

まずマルケト エンゲージのコア機能となるプログラムは、個別のマーケティングキャンペーンを管理する為の機能で、プログラムの配下に、ローカルアセット、スマートキャンペーンが紐づきます。ローカルアセットは個別のマーケティングキャンペーンで利用されるフォームやLP、メールなどを意味し、スマートキャンペーンで個別のマーケティングキャンペーンのワークフローを構築します。

このプログラムを作成する際に、必ずチャネルを選択する必要があるのは、チャネルはプログラムより上位の概念であることを示しており、プログラムのカテゴリを選択するという意味になります。プログラムはマーケティングキャンペーンですので、チャネルは言い換えるのであれば、マーケティングキャンペーンのカテゴリという事になります。チャネルという言葉で考えるとメールマガジン、セミナー、ウェビナー、ブログなど、いわゆるマーケティングチャネルのイメージになりますが、同一の指標で測定し、効果の比較検証が必要なマーケティングキャンペーンのカテゴリと捉えると、チャネルの活用レンジは広がります。例えば、同じメールマガジンでもプロスペクト(見込み顧客)向け、カスタマー(既存顧客)向けで測定指標、ゴールなどが異なれば、別のチャネル(カテゴリ)として捉えても良いことになります。


チャネルにはステータスの設定が必要です。

引用:Adobe 公式サイト プログラムチャネルの作成


チャネルにはステップの番号とサクセスのフラグが用意されています。ステップの番号は小さな番号から順番に次のステップに向かっていくように設計するのが基本です。一旦先のステップに進んだリードが前のステップに戻らないように自動的に制御してくれる機能があるからです。ただし、往来があるステップ(例えば、一旦前のステップに進んだけど、前のステップに戻ってくる事もある)の場合もありますので、その場合はステップの番号を揃えます。


なぜ下記のサンプルでステップが2桁(Step10,Step20,Step30)で表示されているかと言いますと、これは単純な理由でステップの順番は数字でしか制御ができないので、ステップを増やそうとした時に1,2,3とつけていますと、他のステップの番号も全て変更しないといけなくなるからです。


プログラムサクセス


プログラムのサクセスは、このマーケティングカテゴリにおいて、どのステップまで進めば、マーケティングの効果(マーケティングインフルエンス)があったか。という事を測定する為に存在します。


マルケトにはマルチタッチポイントを統合的に管理し、各マーケティングキャンペーンが商談や受注に影響を及ぼしたか。という事を測定し効果を立証するという概念があります。多くのマーケティング効果の測定ケースでは、ファーストタッチポイント、即ち新規リードを獲得したマーケティングキャンペーンに効果の全ての比重が置かれがちですが、マルケトは受注に至るまでのナーチャリングプロセス全てのタッチポイントを評価するアトリビューションの考え方を取り入れているからです。リードナーチャリングに強みのあるシステムですから当然と言えば、当然なのですが、この全体を通じたマルチチャネルでのアトリビューション分析が簡単にできるシステムは多くはないのでは無いかと思います。


プログラムアナライザー


基本的には各マーケティングプログラムからリードにアプローチをして、コミュニケーションが成立した(効果があった)と見なせるポイントがサクセスという事になります。何を持ってサクセスとするかはマーケティングチームだけでなく、経営陣、セールスチームとの合意も必要で、この合意を持ってスコアリングへの加点判断ともなります。購買の検討を前進させていると明確に判断できるものであれば、リードスコアとして加点し、有望なリードとして抽出する判断材料となります。ウェビナーへ参加をすれば、サクセスとみなしリードスコアを加点する。この複数のタッチポイントでのコミュニケーションの結果、リードスコアが特定の閾値(例 100点以上)を超えた場合はインサイドセールスやフィールドセールスのフォローアップ対象となる。という基本的な動作を考えると、リードスコアリングもプログラムサクセスもマーケティングチームだけで決められることではないということがわかります。


新規獲得プログラム


新規獲得プログラムはファーストタッチポイント、即ちリードを獲得する事に貢献をしたマーケティングキャンペーンを認識する為の機能です。新規獲得プログラムの情報しっかりと管理することで、新規獲得に貢献したプログラム(ファーストタッチポイントのROI)、ナーチャリングの過程で貢献したプログラム(マルチタッチポイントのROI)という軸でマーケティングプログラムの効果分析ができるようになります。ROIを分析する為には、コストの登録とセールスフォースなどのCRMと連携して商談や受注データを連携させる必要があります。


引用:Adobe 公式サイト チャネルの効果とプログラムアナライザとの比較

マルチタッチポイントのROI

右の選択リストに表示されているMTがマルチタッチポイント、FTがファーストタッチポイントを意味しています。

引用:Adobe 公式サイト プログラムオポチュニティ分析領域について


引用:Adobe 公式サイト プログラム売上高ステージ分析領域について


チャネルの設計


これらの基本的な機能と概念を理解した上で、チャネルの設計を行うのですが、自社のマーケティングとセールスの収益サイクルモデルが定義されていなければなりません。収益サイクルモデルの各プロセスを前進させる為に、チャネルがあり、その配下にプログラムがあるという全体設計が必要です。次回はチャネルの設計方法について解説します。

Iku Hirosaki
Tatsuro Marui
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丸井 達郎
代表取締役 | Chair and Chief Executive Officer

株式会社マルケト(現アドビ株式会社)にてセールス及びマーケティング分野の戦略コンサルタントとして、実現性の高い戦術設計に重点を置いたフレームワークを活用して、多くの顧客企業のDXを成功に導く。また、グローバルでわずか6名しかいない戦略コンサルティングチームにも所属し、グローバル規模の大型プロジェクトもリードした。オンライン広告やウェブサイト最適化、マーケティングオートメーション及びSFAをはじめとしたセールステックまで幅広い知識を有し、自身もマーケターとして、企業の成長に大きく貢献した経験を持つ。テクノロジースタートアップ企業の海外進出などにも従事している。著書に「数字指向」のマーケティング データに踊らされないための数字の読み方・使い方(MarkeZine BOOKS)マーケティングオペレーション(MOps)の教科書 専門チームでマーケターの生産性を上げる米国発の新常識」(MarkeZine BOOKS)がある。