NECソリューションイノベータ株式会社

営業とマーケティングの協業体制構築により、全社的なGTM戦略の実行へ

「いつかを、いまに、変えていく。」を企業コンセプトに掲げ、システムインテグレータとバリュープロバイダという2つの事業を軸に、全国をカバーする拠点体制により価値を届けるNECソリューションイノベータ株式会社。革新的なICTソリューションをより多くの企業に届けられるよう、マーケティングと営業の協業体制を構築しGTM戦略を策定・実行すべく、ゼロワングロースによるGTM戦略ワークショップを実施。本記事では、ゼロワングロースを採用した理由や研修の効果について、ワークショップに参加していただいたメンバーとの振り返りを紹介します。

お話を伺った方

  • NECソリューションイノベータ株式会社マーケティング推進本部
    • 本部長 飯島圭一様
    • DXアーキテクト マネージャー 瀬崎大輔様
    • 主任 三重野隆史様
  • NECソリューションイノベータ株式会社営業統括本部
    • ゼネラルマネージャー 丸山喜弘様
    • シニアプロフェッショナル 石井正泰 様
    • 主任 長谷川由一様
    • 担当 佐藤朱莉様

部署及びお役職は取材時時点のものです。

ワークショップ採用の背景にあった経営改革

NECソリューションイノベータ株式会社の経営改革について

(飯島様)2年前に経営者が変わったことをきっかけに、NECソリューションイノベータは全社戦略を大きく変更しました。具体的には、成長戦略として「売上」を重視すると同時に、「利益」をより重要視する方向への転換です。利益に焦点を当てた事業分析の結果、幅広い事業領域がリソースの分散を招き、利益追求が難しい領域があることが判明しました。これにより、事業領域の見直しとリソースの選択と集中による利益性を追求する戦略が2022年度から開始されました。

マーケティングと営業それぞれの課題について

(飯島様)マーケティング部として利益を追求する戦略を実行に移す際、最大の課題は利益創出の分析でした。事業ごとの利益性は売上からコストを引き算することで算出できたものの、マーケティングのROI(投資利益率)に焦点を当てた要因分析は難航しました。例えば、広告、展示会、セミナーなどの施策が、本当に利益創出に貢献しているのか。貢献しているとして、もっとも効果がある施策は何なのか、何故なのか、明確に把握できていませんでした。このように、マーケティング施策ごとの分析の正確性や精度に課題があり、利益要因を詳細に分析するために、マーケティングプロセスに大規模な改善が必要でした。

(丸山様)営業組織の課題は、商材ベースと地域ベースの大きく2つの部隊に分かれた組織がいかに連携、融合して当社の注力ソリューションを拡販するかという点でした。利益性の高い事業に集中するため、商材ベースの部隊は商材の選択を進めてきましたが、地域ベースの部隊は特定商材の専任者はおらず、多様な商材を扱っていたため、利益性を追求する戦略を実行するには組織内での役割定義と組織間の連携が必要でした。

GTM戦略ワークショップを採用した理由

(丸山様)営業組織内の連携方法を悩んでいた時期に、マーケティング部からGTM戦略の実行について提案がありました。全営業部隊が選択された事業領域に対して、どのようにリソースを投入しリードや商談を発掘するか、マーケティング部と協業するといった戦略は非常に魅力的でした。これにより、全国に存在する営業組織が連携し、より効果的なマーケットへのアプローチを実現できると思い、GTM戦略ワークショップの採用に賛成しました。

(飯島様)マーケティングプロセスの大幅な変革としてGTM戦略を採用した理由は、マーケティング施策単位の利益性を可視化し、営業部と協力して正確なパイプライン管理を実現できると考えたからです。以前まで営業とマーケティングはSLAなどの約束事が曖昧で、個別に必要に応じてコンタクトを取り合っていました。GTM戦略の採用によって、マーケティングと営業の緊密な協力体制を構築することで、より高い利益性の追求を目指せると思い営業に打診しました。

ゼロワングロース採用のきっかけは1冊の本

(飯島様)最初のきっかけは、マーケティング界隈の知り合いから、ゼロワングロースの丸井さんと廣崎さんが執筆された『マーケティングオペレーションの教科書』を紹介されたことです。この書籍を読み、我々がマーケティング部として目指していることが理論立てて詳細に説明されていることに感銘を受けました。この出来事がゼロワングロースにお声かけさせていただくファーストステップであり、採用する大きなきっかけとなりました。

(三重野様)私も飯島さんからの推薦で『マーケティングオペレーションの教科書』を購入し読んだことが大きなきっかけです。読み終わった後、MOpsについて情報収集を進める中で、BtoBマーケティングにおける最新のグローバル動向や情報を自社に取り入れる難しさを実感しました。そこで、最新情報を提供してくれるゼロワングロースに相談する中で、GTM戦略についても相談しようと企画を始めました。

(瀬崎様)私も飯島さんからの推薦を受けて『マーケティングオペレーションの教科書』を購入し、のめり込むように読破しました。この書籍を読んで、自分たちがこれまで目指してきたこと、チャレンジしてきたことが正しかったと確認できたと同時に、社内にはまだまだ改善(チャレンジ)の余地があることを強く感じました。書籍の内容が我々の進むべき道を示す羅針盤のように感じられ、非常に勇気づけられたことがとても印象に残っています。ここで学んだことは個人レベルで留めるのではなく、組織全体で共有し、誰もが同じ目線に立って同じレベル感で会話できるようにしたいと考えたためゼロワングロースのGTM戦略ワークショップの採用を後押ししました。

ワークショップでは土台作りを目標に

営業視点のワークショップの効果

(石井様)もともとマーケティングと営業の連携が重要であると感じておりました。そして営業部の一員として、マーケティングから質の高いリードを受け取りたいと思っていました。研修を通じて、質の高いリードはリードの母数を増やすだけでなくGTM戦略としてお客様に何を訴求するのかを再確認する必要性があると学びました。また、自社がプロダクトを通じてお客様にどんなバリューを提供しているのかを営業とマーケティングで再考し見直したことで、認識の一致が図れたことも印象に残っています。研修を通じて、今何が必要で、今後何を目標にすべきかが明確になったことが大変参良かったと感じています。

(長谷川様)個人的に印象に残っているのは、マーケティングと営業の両サイドが目標を設定する際に、最初から最後、目的から具体的な実行プランまでその場で話し合って設定するプロセスです。マーケティングと営業は企業の中の部署という枠組みで見たら売上や粗利など共通のゴールを追っているようで、実際には異なる道を歩んでいることが多いと感じていました。例えば、マーケティング担当者が提供する見込み顧客情報が営業によって上手く活用されない、逆に営業からは見込み顧客情報の質が悪いと、両サイドでのズレが生じていました。今回の研修では共通目標の立て方やそれぞれの役割を決めていくプロセスを学び、このようなズレがなくなるのではないかと思いました。

(佐藤様)建設チームに所属する私は、他のメンバーが少し前にゼロワングロース株式会社のマーケティングワークショップを受講し、その内容を私が研修を受ける前から実務に導入していました。これにより、実際に手を動かして作業を進め、試行錯誤してきたことと研修で学ぶ理論が線で繋がり、改めて理解が深まったと感じます。また今回の研修は、2年前からマーケティング部と連携して戦略を実行しようとしていたが、タイミングが合わず実現できていなかった状況を打開する良いきっかけとなりました。マーケティング部と共に研修を受講することで、今後の協力体制が強化されたと感じています。

企画側の所感

(三重野様)ワークショップは2回企画したのですが、1回目の研修には関係するマーケティングメンバー全員が参加し、2回目には営業メンバーを中心に任意参加の形式で企画しました。最も驚いたのは、2回目の企画は任意参加にもかかわらずマーケティング・営業メンバー合わせて70人以上が集まったことです。これほど多くの人がコミュニケーションを取りたいと考えていることに驚きました。実際にマーケティングと営業が一緒に研修を受けたことで、マーケティングだけで実施した時よりも解像度の高い議論ができたように感じました。特に、マーケティングと営業の接点であるSLAに関する課題が可視化され、建設的な議論ができる土台ができたと感じています。リードの質や量、売上の目標と現実のギャップなど、営業側から見えにくい部分も明確になりました。

これからは、可視化ツールや定期的なチェックを通じて継続的に改善を図る必要がありますが、まず第一歩として非常に良いスタートが切れたと思います。今後もこの取り組みを続けていきたいと考えています。

(丸山様)今回の研修では、地域ベースの営業メンバーも多く参加してくれました。リモートでしか顔を見たことがないメンバーもマーケティング部門と対面で接点ができたのはよかったです。特に地域にいるメンバーは今回の研修を通じてマーケティングの全体像を理解し、営業の視点もある程度共有できたのではないかと思います。全体として営業とマーケティングチームから多く出席したことで、情報共有と認識のすり合わせができた良い機会でした。

(飯島様)私にとって最も大きな成果は、多くの営業メンバーが参加してくれたことです。これにより、マーケティングと営業との間でしっかりと共通言語が構築できたと実感しています。GTM戦略はマーケティングだけでは完結せず、営業とタッグを組んで進める必要があります。実際、研修後に建設商材の営業とマーケティングでGTM戦略をどのように進めるか、ワークショップの講義内容をもとに8週間に分割して計画に落とし込みました。同じゴールに向かって信頼関係とコミットメントを持ちながら進められるようになったことも非常に大きな成果です。

まずやってみる、そして改善する

今後の取り組みについて

(瀬崎様)組織として次のステージに進む準備が整ったという手応えを感じています。研修を通して、丸井さんは「研修を提供することが目的ではなく、組織で自走できるようにすることが目的である」と強調されていました。今回の研修をスポットで終わらせず、ここで学んだことを今後も継続してやり続けることが課題だと感じています。会社の方針や営業戦略は企業の成長や市場の状況とともに変動していくと思いますが、営業マーケティングにおけるMOpsの基本的な考え方は今後も変わらないと考えています。研修で学んだことを軸に組織戦略とアラインさせながら、今後もGTM戦略およびMOpsの浸透・定着に向けてチャレンジを続けていきます。

(丸山様)今後は、この研修を土台に営業とマーケティング、双方にとってWIN-WINであるGTM戦略を実行に落とし込むことが目標です。研修では、SQLやMQLをどう創出するべきかシミュレーションを行いましたが、マーケティングがデータドリブンに動くからこそ、営業もリードを受け取って責任持って商談化に繋げ取り切ることが重要です。研修の場で学んだことを実行に落とし込み、上手くいかないときは建設的に議論する。このようなことを着実にやっていき、成果に繋げていきたいと思います。

(飯島様)あとは実行あるのみです。7月から施策がどんどん進んでいくので、マーケティングと営業でしっかりやり切ることが重要です。エラーは当然発生しますが、それを短いサイクルで改善することが成功の鍵だと考えています。今年度はデータを蓄積し1年から2年かけて準備を整え、データを基にした真のGTM戦略を全社的に展開することが大きな目標です。今はまず、データを蓄積しながら、研修で学んだことを実行することに集中したいと思います。