BtoBの購買サイクルは長くそのプロセスも複雑なため、マーケティング施策の効果検証が難しいとされています。そんな中BtoBマーケティングの効果をどのように示していけば良いのでしょうか?
BtoBの購買サイクルは最短でも半年〜長ければ数年と平均して長く、購買プロセスも複雑です。それにもかかわらず、ガートナーの調査によると、営業担当者はBtoBのバイヤーのわずか5%の時間にしかアプローチできていないそうです。デジタルチャネルを通じて質の高い情報を入手できるようになったことで、バイヤーが独自に情報を収集することが容易になり、売り手が顧客の意思決定に影響を与える機会が減少していることが大きな要因です。同調査では、BtoBのバイヤーが購入を検討しているとき、その時間のわずか17%しか潜在的なサプライヤーとの面談に費やしていないことが分かっています。バイヤーが複数のサプライヤーを比較検討している場合、1人の営業担当者と過ごす時間はわずか5%または6%に過ぎないのです。
また、BtoBの購買行動は直線的なリニアプロセスではなくループ動線で行われます。つまり各購買ステージを何度も行ったり来たりするため、一層BtoBの効果測定を難しくしているのです。
2022年のMarketing Measurement & Attribution調査に回答したBtoBマーケターによると、マーケティングのパフォーマンスとインパクトを示すにあたり抱えている課題は以下の通りです。
では解決策としてどのようなことが考えられるのでしょうか。具体的な回答を見ていきましょう。
自社のマーケティングのパフォーマンスとインパクトを測定・分析する能力が優れていると答えたのは、回答者のうちわずか10%でした。
BtoBマーケターは長年にわたり新規顧客の獲得に焦点を当て、投資の比重を置いてきました。しかしフォレスターの調査によると、BtoBバイヤーが必要としているのは、購入プロセスにおけるサポートであるということがわかっています。これを踏まえると、新規顧客の獲得数やその単価だけでは BtoBマーケティングの効果を示すことにはならないと言えるでしょう。
BtoBマーケティングで採用すべき評価指標の一つとしてリフトベースのパフォーマンス指標をご紹介します。この指標は、マーケティングが購買グループのメンバーと一定の回数エンゲージメントを確立することで、ビジネスの収益が向上することを示すものです。
リフトベースのパフォーマンス指標を決めるためには、何回のインタラクションがビジネスに最適な収益増をもたらすかを明らかにする必要があります。マーケティング担当者は、この分析に基づいてエンゲージメントの目標を設定し、バイヤーとのエンゲージメントレベルをKPIにしマーケティング活動を進めるのです。エンゲージメントの目標を8インタラクションとした時の例を見てみましょう。
表から読み取ることができるこの企業のパフォーマンスは以下の通りです。
この結果に基づくと、8回のインタラクションを達成したパイプラインの割合を確認し、受注額の上昇との関係性が認められた場合、ビジネスの収益リフトであると考えることができます。マーケティングオートメーションツールなどでマルチタッチアトリビューション分析を使えば各マーケティング施策がボトムラインへ与えた影響を分析できますが、このようにタッチポイントの数で分析をすることもできるのです。
いかがでしたでしょうか。リフトベースのマーケティング指標はマーケティングが与える影響を把握する一つの手法であり、シングル・マルチタッチアトリビューションモデルなどとくみあせて使用することでその分析により意味を持たせることができるでしょう。また接触回数が増え購入プロセスが長くなっているという今日のBtoBバイヤーの行動傾向を鑑みても、今こそ活用すべき指標であると言えます。